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来秋ドラフト注目右腕、市和歌山高の小園健太が感極まったワケ

 

ライバルに逆転勝利



「2021年の主役」へと一気に躍り出た。

 市和歌山高は智弁和歌山高との県大会準決勝で逆転勝利(5対4)を収めた。この1勝で、近畿大会出場を決める立役者となったのは152キロ右腕・小園健太(2年)だった。

 市和歌山高は1回表、小園と中学時代(貝塚ヤング)からバッテリーを組むプロ注目捕手・松川虎生(2年)の適時打で先制。ところが、小園は2回裏に逆転2ランを浴び、3回裏にも追加点を奪われる。以降は走者を背負いながらも、粘りの投球で味方の反撃を待った。

 1対3で迎えた8回表。市和歌山高は一死満塁から四番・松川の走者一掃二塁打で逆転に成功。さらに1点を加えて、リードを2点に広げた。残り2イニング。小園は9回裏に1点差とされ、なおも二死一、二塁のピンチ。ここで智弁和歌山高のドラフト候補の四番・徳丸天晴(2年)を三振に斬り、マウンド上で雄叫び。試合後、小園は人目をはばからず涙を流している。

 184センチ右腕が感極まった理由は――。

 市和歌山高にとって、智弁和歌山高は県内最大のライバルである。智弁和歌山高は2017年夏から、中止となった今春のセンバツまで6季連続甲子園出場。市和歌山高は今夏の独自大会3回戦でも同校に惜敗(4対7)していただけに、今秋にかける思いは相当だった。

 前身の市和歌山商高からの伝統校である市和歌山高は最近10年では14年夏、16年春夏、19年春と甲子園の土を踏んでいる。19年春は8強進出。近年も安定した戦力で、県内をリードする智弁和歌山高を脅かす存在となっていた。今秋は小園と松川の「二枚看板」を擁して勝ち切ったのは、大きな意義がある。

 来春のセンバツ出場校の選出へ、貴重な資料となる近畿大会は10月17日に京都(わかさスタジアム)で開幕する。2年ぶりのセンバツを目指す市和歌山高。早くも2021年のドラフト戦線において「目玉の一人」と言われている小園のマウンドから目が離せない。

写真=早浪章弘
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