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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

周東佑京をはじめソフトバンクの若き二遊間は、失敗を力に変えられるか

 

本多コーチ(写真左)の下、守備力強化に努める周東


 センターラインの一翼を担い、打球をさばく回数の多さからも、俊敏性や送球の正確性などが特に求められるポジション。2人のコンビネーションも大切となる二遊間の重要性は、よく知るところだろう。現在、パ・リーグの優勝争いを繰り広げているソフトバンクの場合は、ここ数年なかなか二塁のレギュラーが決まらずにいる。また、今季は今宮健太の故障離脱で正遊撃手も不在に。二遊間は、実は“弱点”とも言える、頭を悩ませるポジションなのだ。

 だが、本多雄一内野守備走塁コーチは「若手にとってはチャンスでもある」と語る。18年限りで現役を引退後、翌年からコーチ(一軍)に就任したソフトバンク一筋の男は今季、走塁以上に守備力強化に努めている。理由は、上記状況により、若手の起用が増えたから。特に、二塁はプロ入り3年目の周東佑京、遊撃は同5年目の川瀬晃が守るケースが増えている。

「毎日、毎試合、必死になってやっています。緊張しながら、いいプレーをしたと思ったら、失敗して」(本多)という彼らの守備は、確かにミスが目立ち、それが試合の結果に影響を及ぼすこともしばしば……。だからこそ、本多コーチは“話し合い”の重要性を語る。

「『ミスした後、どうするか』。ミスをミスで終わらせずに、“振り返ってどういう状況だったか”“そのときに、どういう自分の一瞬の判断で、どういうプレーをしたのか”というところは、しっかり試合後に話し合いますね」

 意識を共有することで課題を浮き彫りにし、課題を解消するために練習に励む。記憶に新しいのが9月12日の西武戦(PayPayドーム)。二塁守備で1試合2失策を犯した周東は、悔しさからベンチで涙。そんな周東に、下を向いたり、いつまでも引きずって泣いている暇はないと、本多コーチは試合後に居残り練習を行った。「次の日はデーゲームでしたが、恐怖心を持って朝を迎えるのか、練習することで少しでも気持ちを楽にするのか。周東自身も『このままでは嫌だ』という思いがあった」。

 失敗を力に変える。それを次の成功につなげる。それができなければ、いつまで経ってもレギュラーには届かないだろう。どんなに神経を集中させていても、ミスは起こるもの。だから、ミスをミスで終わらせないように、本多コーチは若い選手たちに寄り添っている。厳しくも温かいコーチによる熱を帯びる指導の下、若鷹たちのさらなる成長が楽しみで仕方ない。
文=菅原梨恵 写真=小山真司
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