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順調に減る優勝へのマジック。巨人、連覇のXデーは?

 

9月15日に優勝へのマジックナンバー「38」を点灯させていた巨人が、連覇へ向け、着々と歩を進めている。10月2日からの2位・阪神との4連戦は、最後の抵抗が予想されていたが……。

12球団一の堅い守備


10月3日の阪神戦(甲子園)の5回、二死一塁で北條に中堅フェンスと直撃打を許したが、丸、坂本の見事な中継プレーで一走・近本を本塁でタッチアウトに。12球団最少失策の堅い守備を見せつけた(写真=石井愛子)


 虎の息の根を完全に止めた。優勝へのマジックナンバーを「21」として迎えた10月2日からの敵地・甲子園での2位・阪神戦。この時点で12.5ゲーム差をつけており、4連敗をしたとしても体勢に影響はなかったが、第1戦こそエース・西勇輝の前に打線が沈黙して敗れたものの(1対4)、第2戦(7対4)、第3戦(7対1)と連勝、シーズンの対戦成績でも勝ち越しを決め、引導を渡す結果となった。

 首位独走チームが、強さの一端を見せたのが3日の第2戦、2点をリードして迎えた5回裏の守備だ。先発の畠世周が簡単に二死を奪っておきながら、近本光司に出塁を許した後のシーン。続く北條史也にセンターオーバーのフェンス直撃打を打たれるも、丸佳浩がクッションボールを素早く処理し、中継に入った坂本勇人へ。これを坂本が正確なワンバウンド送球で捕手の大城卓三へ送り、大城は一走・近本がホームベースに触れる直前に左手にタッチ。間一髪のところで生還を阻んでいる。

 直後の6回には逆に3点を奪って試合の趨勢を決定付けているのだが、守備で作ったリズムが影響を及ぼしたことは疑いの余地がない。流れるような中継プレーに原辰徳監督も「守りの部分で良いところが出たと思います」とご満悦。今季の巨人はチーム失策数が12球団最少(4日時点)の28で、守備率も同最高の.992を誇る。これは昨季中日がマークしたセ・リーグのシーズン最高守備率と同じで、こちらの記録更新にも期待がかけられている。余談だが、一方の阪神は12球団最多の64失策で、同最低の守備率.981だ。

10月4日の阪神戦(甲子園)の3回、先発の戸郷が無死満塁から押し出し四球も、ここでスイッチした大江が三振、一邪飛、三振のパーフェクトな救援で加点を許さず(写真=早浪章弘)


 4日の第3戦では2点を先制して迎えた3回のシーンに注目してほしい。先発・戸郷翔征が押し出し含む3者連続四球を与えるなどしたため、原監督が早々に交代を決断。1点差とされ、一打逆転もあり得る場面でマウンドに上がったのが大江竜聖だった。この窮地に変則左腕はボーアを空振り三振、原口文仁を一邪飛、小幡竜平も空振り三振に打ち取る、パーフェクトリリーフ。イニングをまたいで4回もゼロに抑え、指揮官も「大江がゲームを締めてくれました。(あの3回の場面は)1点、2点は覚悟したんですけどね。あれで5回から継投に移れました。大江が殊勲者だと思います」と脱帽したが、ベンチの決断の早さ、大江をはじめとするブルペンの充実(勝ちパターンの投手に限る)も今季の巨人の強さの1つ言える。
 
9月15日に優勝マジック「38」を点灯させてから、10月4日までの20日間(18試合)で、21減らし、マジックは「17」となった。1日「1」以上の計算で、ペースとしては順調と言える。大きな故障者はなく、勝っているからこそ、若手にも出番が与えられ、彼らの成長も著しい。連覇へ遮るものはなく、同様のペースならば10月20日前後にクライマックスを迎えることとなりそうだ。

『週刊ベースボール』2020年10月19日号(10月7日発売)より

写真=BBM
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