一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 湯口は開花するのか
今回は『1972年2月14日号』。定価は90円。
藤田元司コーチ、森昌彦兼任コーチで投手王国構築を目指す
巨人だが、課題は山積みだ。
まずはなかなか20勝できないエースの
堀内恒夫。メンタル面が課題とも言われていた。
この年は寺籠りの後、1月27日から自主トレに参加すると連絡。ただ、変身した姿を報道陣が待ち受けるも、連絡なしの欠席。報道陣は、
「相変わらずの気まぐれ変化球にやられたよ」
と苦笑していた。
次の心配は
渡辺秀武。70年に23勝し、一本立ちかと期待されたが、71年は10勝。球威もあって素晴らしい球を投げるのだが、制球が崩れだすと止まらなくなり、さらに「打たれるとすぐ自信をなくし、ウサギのような弱い心臓になってしまう」(評論家)。
また、71年入団の巨人・湯口敏彦については、
川上哲治監督は、「オールスターまでには使ってみたい」と話していたが、
中村稔コーチは「まだ大人の体じゃない。骨格が決まらないので、無理をさせると、すぐ故障する」と慎重論。
一部の記者から「巨人の二軍はフォームいじりが好きだから投手は育ちにくい。今年は中尾二軍監督が復帰したから無理じゃないか」という声もあった。
このウワサを
中尾碩志監督にぶつけると「とんでもない。私は各自の個性を伸ばす主義だ」と話していた。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM