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「振る力、飛ばす力がある」。スカウトも目を細めた早実・清宮福太郎の存在感

 

名門校を背負うチームの顔


早実の主将・清宮福太郎(2年)は修徳高との東京都大会1回戦で、4打数1安打1打点とチームの初戦突破に貢献した


 東京都秋季大会が10月18日に開幕。シード校の早実は、修徳との1回戦(ダイワハウススタジアム八王子)を9対2の7回コールドで制した。

「内容としては、コールドで勝ったのかな、と……。気を引き締めていきたい」

 試合後にこう語ったのは早実の主将・清宮福太郎(2年)だ。強豪校同士の対決を前にして、和泉実監督は「プレッシャーをかけてきた」。この「ヤマ場」と位置付けた初戦で快勝したにもかかわらず、なぜ、キャプテンからは反省ばかりが口をついたのか。

「ガチガチで……。力が入ってしまって、周りの皆に助けられました」

 9月20日のブロック予選(対中大杉並)でも主将、また、最上級生としての「重圧」を語っていたが、本大会はまた、別物だった。

「あのときは自分たちのグラウンド(王貞治記念グラウンド)だったので、練習試合の感覚だったんですが、(今日は)球場も違うので……」

 早実は昨秋の東京都大会(ブロック予選)を出場辞退(複数部員による問題行動)しており、今春は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、大会が中止。そして、今夏の東京都高野連主催の独自大会(西東京)は無観客試合で行われた。つまり、清宮にとって有観客での公式戦は1年夏以来で、平常心で臨むのは難しい状況にあったのだ。

「四番・一塁」で出場した第1打席は、二死二塁から見逃し三振。相手投手のスライダーに、バットが出なかった。力んでしまい、体が固まってしまったようだ。「いつもの打撃ができてない。地に足を着けて野球をやろうと思った」。第2打席では外角のスライダーを、中前へ運ぶタイムリー。「振ってはいけないボール球ですが……食らいついていきました」。早実で主将を務めた兄・幸太郎(日本ハム)譲りのパワーヒッターの印象だが、うまさも見せた。早実・和泉監督も「飛ばせるツボを持っているが、しぶとさもある。キャプテンの1本は、チームとしても勇気づけた」と評価。主将としても「兄ちゃんとは違う良さがあり、バランスも取れている」と、名門校を背負うチームの顔として認める。

 ネット裏で熱視線を送った巨人青木高広スカウトは「振る力、飛ばす力がある。この特長を今後、どう伸ばしていくのか――。夏の本塁打(対八王子、西東京大会1回戦)も視察していますが、後ろ姿を見ても(兄と)雰囲気は似ていますね」と目を細めた。郁文館との2回戦は10月24日に組まれている。次戦までに、どう仕上げてくるか。右スラッガー・清宮のバットから目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=黒崎雅久
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