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2本の先頭打者弾…ロッテ・藤原恭大が好結果を残せているワケとは

 

まだ終わったわけではない。首位・ソフトバンクとの差が開きつつあるも、チャンスを手にしたロッテの20歳が躍動。先週、2本の先頭打者弾を放った新リードオフマンが再びチームに勢いを与えていく。

指揮官も「持っている選手」


プロ初本塁打を先頭打者弾で飾るも表情を緩めることはない


 試合開始直後の初球をとらえた打球が右翼席へ伸びていく。「一番・左翼」で出場した10月14日の楽天戦(ZOZOマリン)で放った藤原恭大の2号アーチも先頭打者弾。首位・ソフトバンクとの差が開く中で、チームに力を与える一打に、スタンドもベンチも沸きに沸いた。

 高卒2年目の20歳。1年目の昨季は開幕スタメンも、6試合でわずか2安打。4月7日に二軍に降格して以降、一軍に呼ばれることはなかた。それでも、将来の主力としての期待は変わらない。だからこそ、今季は二軍での育成方針も、不測の事態で、10月6日に緊急昇格。とはいえファームで58試合に出場して52安打、7本塁打、14盗塁と結果を残してつかんだチャンスでもある。「代打、代走でも出番は必ずある。チャンスだと思った」と言うのは当然のこと。井口資仁監督が円陣で「レギュラーを取っちゃえ!」と発すれば、目の色が変わらないわけがない。

「1打席目の1球目からホームランを打てる準備をしている」

 2本の初回先頭打者弾は、そんな意識の賜物だ。そもそも大阪桐蔭高時代から思い切りの良さが武器で、全国に名を馳せたのも2年春のセンバツ決勝での先頭打者弾だった。3年時には甲子園春夏連覇を遂げた男に指揮官も「持っている選手。塁に出てばチームも勢いづく」と大きな期待を寄せる。

攻守走で見せる進化


 好結果を呼んでいる。“準備”は昨日、今日の話ではない。2年前の18年。ドラフト2週間前に控えた高校3年時の藤原はこう言っていた。

「打撃を向上させないと絶対にプロで試合に出られない。自分は外野手で勝負するから、特にそう。だから『ボールをとらえて飛ばす技術』を身につけたいと思って、バットを振っているんです」

 努力が形になりつつある。一発だけでなく、内角や低めのボールも巧みなバットコントロールで安打を放ち、守っては難しい打球を好捕、塁に出れば果敢に盗塁を仕掛けるなど、攻守走で進化を示す20歳。チャンスを逃さず、定位置奪取へ突き進む男は「期待に応えたい。もっともっとできるところを見せたい」と心強い。

 巡ってきたチャンスは逃すまいと躍動する新リードオフマンが15年ぶりのリーグ優勝を期すナインに力を与える。チームも自分自身も勝負はこれから――。そんな思いがあるからこそ、結果を残しても藤原の表情が緩むことはない。

写真=BBM
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