週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

ソフトバンクが3年ぶりの優勝を飾った理由は? 投打のMVPはやはり……

 

驚異的なラストスパート


3年ぶり21度目のリーグ優勝を飾ったソフトバンク。胴上げ投手は森だった


 わずか1厘差から一気に突っ走った。10月9日、PayPayドームで行われた2位・ロッテとの直接対決に敗れ、ゲーム差なしの勝率1厘差まで迫られたソフトバンク。試合後、工藤公康監督は「ここからがサバイバルではないが、同じところに立たれたので。食うか食われるか、やるかやられるかという強い気持ちを持って明日から挑まないといけない」と鬼気迫る表情でナインを鼓舞した。10日の同戦を東浜巨の好投で飾ると、そこから驚異的なラストスパートで12連勝。21日にはマジックナンバー「8」を点灯させ、あっという間にゴールテープを駆け抜けて10月27日、本拠地でロッテを破り、3年ぶり21度目のリーグ優勝を決めた。

今季はグラウンドに立ち続け、チームをけん引した柳田


 コロナ禍でのシーズンにソフトバンクの強さは際立った。8月22日にロッテと同率の首位に立つと、そこから首位の座を譲らなかった。豊富な戦力の中でもやはりこの男の存在は絶大だった。昨季は左ヒザ裏肉離れのため長期離脱した柳田悠岐がグラウンドに立ち続け、MVP級の活躍。オフにはメジャー・リーグへの挑戦も封印し、新たな7年契約を結んだ。「ケガをした選手を何でこんなに評価してくれるんやろ、と。感謝しかない。しっかりここで野球をしたい」と誓いを込めた。

 7月は打率.433、7本塁打、20打点。月間32得点のプロ野球タイ記録もマークした。6、7月度の月間MVPも獲得。首脳陣も数試合に1試合はDHで出場させるなど6連戦の続く過密日程を考慮し、主砲の離脱を防いだ。8月にも10本塁打。勝負の10月にも安打を積み重ね、首位打者争いも演じた。

しっかり仕事を果たした主軸


優勝までに9勝を挙げ、クオリティースタートを12マークした千賀


 打のMVPが柳田なら、投は東浜と千賀滉大の両先発にセットアッパーのモイネロ、守護神の森唯斗とタレントは豊富だ。右前腕部の違和感で春季キャンプから出遅れた千賀は開幕延期によって、離脱期間を最低限に抑えられた。7月7日の楽天戦(PayPayドーム)で今季初登板に臨むと、例年以上に重要な「火曜日」を任されることになった。工藤監督が「どこのチームも初戦を勝って勢いをつけたいと思うところはある。そういう意味で火曜日に勝つかどうかは大きい」と説明したように異例の同一カード6連戦では「火曜日」が重要となった。

 決して思いどおりのシーズンではなかったが、千賀は主戦級と投げ合い、白星を重ねていった。終盤の12連勝中は実に11試合が先発に白星がついた。工藤監督は「連勝できたのは、先発にしっかり勝ちがついているから。チームとしては理想的な勝ち方ができている」とうなずいた。力のある主軸がきっちり仕事をし、勢いのある若手も躍動した。ソフトバンクが3年ぶりにペナントを奪還するのは必然だった。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング