一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 積み重なっていた借金
今回は『1972年3月27日号』。定価は100円。
3月6日、大洋・江藤慎一が破産宣告を受けた。江藤の自動車会社が倒産したのは、70年だが、今度は破産した別会社と、その社長に250万円の債権が生じていたとしてだった。
250万円は、払えない額ではなかったと思うが、相手が脅迫的な態度を取ったことで江藤が交渉を拒否していたらしい。
ただ、裁判所が破産宣告をしたということは、年俸1200万円と言われる江藤に250万円の返済能力がないと判断したからでもある。
つまりは、それだけ借金があったのだ。一時に比べればかなり減ったらしいが、それでも弁護士は「4000万円はくだらないだろう」という。
世間体は悪いが、今、持っている財産(ほとんどなかったらしいが)を吐き出せば、この借金がチャラになることでもある。
中部謙吉オーナーは「事業には失敗はつきもの。くよくよせずに、今度はプレーに全力を尽くすように」と話していた。
江藤は言う。
「ここでワシが滅入ったら大洋に申し訳ない。優勝のために全力でプレーし、少しでも役に立ちたいんだ。それが世間を騒がせ、迷惑を掛けたことへの報いになると思う」
では、また月曜に。
<次回に続く>
写真=BBM