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パ・リーグ6球団「今季の打者MVP」は誰?

 

福岡ソフトバンクホークス



 離脱することなく、欠場わずか1試合のみ。主砲・柳田悠岐が常に軸として打線をけん引したことは、チームにとって大きかった。7月は打率.433と爆発力を見せ、一気にチームを首位に押し上げると、その後もコンスタントに打ち続け、積み重ねた安打は146本。自身初となる最多安打のタイトルを獲得した。それ以外の打撃主要部門でも軒並み上位に名を連ねる活躍ぶりだ。だが、成績以上に、ケガなくシーズンを終えられたこと、そして3年ぶりのリーグ優勝が何よりもうれしかったと語る柳田。コンディション面に関しては「体全体がしんどかったこともあったけど、裏方さんのおかげでやり切れた」と周囲に感謝した。束の間の休息を挟んで、チームはポストシーズンに挑む。4年連続の日本一へ、柳田のバットはまだまだ止まらない。

千葉ロッテマリーンズ



 故障や新型コロナウイルス感染などで主力が離脱する中、二塁手として全試合でスタメンとチーム唯一のフル出場を果たした中村奨吾。守っては、遊撃手・藤岡裕大と抜群の連係を見せ、内野をもり立てた。打率こそ2割台と高くはないが、右方向への軽打に加え、時に一発を放つなど下位からクリーンアップまで幅広く対応。相手投手や調子を見て日替わりオーダーを組んだ今季のロッテ打線において、その存在が戦術の幅を広げたのは間違いない。日本シリーズ出場権を勝ち取るべく、14日からのソフトバンクとのCSでも、攻守でチームに貢献する。

埼玉西武ライオンズ



 昨年までと打って変わって、爆発力が影を潜めた打線にあって孤軍奮闘したのが栗山巧だ。今季、19年目を迎えた37歳。シーズン最終盤には四番に座って2位・ロッテを追い上げる原動力となった。打率.272ながら、出塁率.362。時にじっくりと選球し、四球を奪い取ってチャンスを広げる。さらに、得点圏打率.330と勝負強い打撃を生かして、試合を決める一打も放った。11月3日の日本ハム戦(メットライフ)では自身シーズン最多タイの12号を放ったが、これは初の四番弾。2000安打まで残り74本でシーズンを終えたベテランは、来季もチームの力となる。

東北楽天ゴールデンイーグルス



 昨季は143試合に出場して33本塁打、92打点。今季は120試合制にもかかわらず、全試合に出場して32本塁打、104打点とそん色ない成績を残した浅村栄斗。今季第7号までの本塁打はすべて決勝打となるなど、群を抜く勝負強さを見せた。9月22日のロッテ戦(楽天生命パーク)ではプロ12年目で初となる1試合3本塁打をマークしている。打でのチームMVPは異論のないところだが、チーム成績は4位と振るわなかった。「自分が打たないと勝てない」と、勝敗の責任をも背負う移籍2年目の主砲。来季こそは自身とチームの成績をリンクさせたいところだ。

北海道日本ハムファイターズ


日本ハム・近藤健介


 念願の首位打者獲得こそならなかったが、チームへの貢献度と存在感は四番の中田翔をもしのぐものだった。シーズン中盤から一気に調子を上げ、打率は吉田正尚オリックス)、柳田悠岐(ソフトバンク)に次ぐ.340をマーク。さらに特筆すべきはタイトル獲得が確実な出塁率(.465)の高さ。リーグトップの89四球をもたらした抜群の選球眼、卓越したバットコントロールを武器に「一番アウトを奪うのが難しい打者」として相手バッテリーを苦しめた。あの大谷翔平が日本ハム時代に「近藤さんのバッティングは天才的」とうなった才能。夢の打率4割も、この男ならいつか達成してしまいそうな期待感がある。

オリックス・バファローズ


オリックス・吉田正尚


 腰痛に悩まされたのは、もう過去のことだ。体のケアも欠かさず、吉田正尚が3年連続で全試合出場を果たした。もちろん打力も忘れてはならない。豪快なスイングだけでなく、2ストライクに追い込まれれば、左方向へ華麗に流し打ち巧さも併せ持ち、23試合連続安打を記録するなど、今季の打率は.350とハイアベレージを維持。自身初の首位打者を獲得した。本塁打こそ14と、やや物足りぬ数字も、まだ伸びしろがある証し。まだ27歳。球団のみならず、球界を代表する打者へと成長を遂げている“剛”と“柔”を兼ねる好打者が、低迷したチームの中で孤軍奮闘した。

写真=BBM
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