一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 さすが、エモやん?
今回は『1972年4月10日号』。定価は120円。
3月26日現在、巨人・
王貞治がオープン戦で打率.152、0本塁打と大不振。チーム自体も低迷し、本人は、「僕が打たないとチーム全体に迷惑をかけてしまう。去年でもうこりごりなんですが、今年もまたやってしまった。オープン戦でよかった」と苦笑する。
王はキャンプから腰痛を訴えていたが、それを予言していたのが、長嶋茂雄を治療したこともある整体師の堺幸子だ。
「私は野球は素人ですが、去年から試合を見ていて、右足を上げたとき、お尻の部分が落ちる。これは腰の第五腰椎が悪いのだと思って見ていました。そうすると、どうしてもヒザが開くんです」
王は「シーズン中からではない。キャンプで重いバットを使って練習していたから腰が痛くなって当たり前」と否定。さらに「腰は、すっかり治っています」とも言っていた。
かつての恩師で評論家の
荒川博は王の欠点を3つ指摘した。
1つは背筋が曲がって構えが小さい。2つめはボールを見るとき顔が横を向くときがある。3つめはバックスイングが大きく、下半身ではなく、手でタイミング取っている、だった。
王は「荒川さんの記事は読みましたよ。ですけど、それはいちいち思い当たることばかりなので特にはっとすることはなかった。自分でも気がついて1と2の欠点は直したつもりです」と話した。
荒川氏は生前の取材で「私がずっと見ていたら王は1000本塁打を超えていた」と言っていたことがある。大げさなようにも思ったが、王のような独特のフォームの場合、身近にチェックできる人がいたほうがよかったのかもしれないとも思った。
オープン戦で対戦した南海・
江本孟紀は言う。
「ONとは初めてですが、王さんは怖くなかった。いまかなりバッティングが狂っているようですから」
いや、エモやん。あなたはプロ2年目、まだ一軍で1勝もしてないでしょ……。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM