週刊ベースボールONLINE

川口和久WEBコラム

三浦大輔新監督はDeNAをどう変えるのか/川口和久WEBコラム

 

ラミレスDeNAに感じていた違和感


三浦監督の投手目線に注目だ


 DeNAラミレス監督が退任した。
 任期5年間のうち最初の2016、17年は3位、19年は2位。17年はCSを勝ち上がり、日本シリーズにも出た。万年Bクラスだったチームが大きく変わり、ハマスタも満員が当たり前になった。大功労者だと思うよ。
 ただ、俺はシーズン中からラミレス体制からチームが次の段階に進む転換期が来たのかと思っていた。

 ラミレス監督を評価しないわけじゃない。
 まず、彼のすごさを挙げておこう。
 これは誰もが認めると思うが、何と言っても打者の資質を見抜く目だ。今季の佐野恵太の四番はラミレス監督だからできた。もう脱帽するしかない。
 ほかにも今季であれば、梶谷隆幸を一番で再生させた。これまでのシーズンを見ても、打者の適材適所を見る目には天才的なものがあった。
 ただ、どうだろう。優勝を目指すとなると、ラミレスが来年も監督をしても、それができるとは思いづらいところがあった。

 最大の問題は投手陣だが、自慢の打線についても、俺が投手出身もあって、やや疑問がある。打者が気持ちよく打っているだけに見えるというのかな。
 強烈な打ち合いでは強いかもしれないが、ここぞの1点を取りに行く攻めはできなかったし、していなかった、とも言える。
 たとえば、梶谷は俺の中では一番の打撃はしていない。彼は三番にし、もっと足も小技もできる一、二番を組んでほしかった思いはある。

 ハマスタは、本塁打が出やすい球場だが、野球はシーズンを通し何点を取るかの勝負をしているわけじゃない。何点取られようが、相手より1点でも上回れば勝つのが野球だ。
 そのあたりがラミレスDeNAの戦い方に感じていた違和感ではある。
 まあ、派手な打ち合いが多かったし、お客さんを楽しませるという観点では、よかったかもしれないけどね。

ラミレス遺産から何をセレクトするか


 満を持して次期監督となったのが、二軍監督で、投手出身の三浦大輔だ。
 彼は打者有利の横浜球場で、長いキャリアを過ごした。しかも投球スタイルとして、草野球の球の速いお兄ちゃんくらいの真っすぐしかないのに、右打者のインコースの出し入れし、外のスライダー、緩いカーブで緩急を使いながら、あとは「気持ち」と「顔」で抑えてきた。
 ハマスタを本拠地にする強みも弱みも、誰よりも知る男と言っていいんじゃないかな。
 俺は、今の投手目線が足りなかったチームの新監督として三浦以上の適任はいないと思う。

 ただ、好材料だけがあるわけじゃない。ロペスが退団し、ソトや梶谷の去就がまだ決まっていない。場合によっては、かなりスケールダウンした打線になる可能性もある。
 あと心配は監督交代の場合、変え過ぎて失敗したり、変えなさ過ぎて失敗するケースも多いんだよね。三浦新監督がラミレス遺産から何をセレクトし、何を変えるか、かな。

 あともう1つ、山崎康晃をどう再生するかも注目だ。
 彼は横浜ファンにとって特別な存在だ。どんな役割をあてはめるかは別とし、彼が再生したときが悲願の優勝達成となるかもしれない。

写真=BBM

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング