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FA移籍は投手と野手どちらが多い? タイトル獲得で見る「活躍度合い」

 

 レギュラーシーズン、日本シリーズも終わったが、次は激しい新戦力の獲得合戦と、まだまだ熱いプロ野球界。特にFA市場は、注目選手の去就がこれから決まるため目が離せない。過去多くの選手がFA権を行使して移籍してきたが、投手と野手ではどちらが多いのだろうか?

国内FA移籍選手は野手のほうが多い


 1993年から2019年までに国内FA移籍を果たした89人(FA権を2度行使した4選手は1人でカウント)を調べたところ、

・投手……35人(39.3%)
・野手……54人(60.7%)

 という内訳になった。現在、1チームあたりの支配下登録枠は70人。投手と野手の割合は、どのチームもおおむね半々の割合にしており、極端にどちらが多いというのは見られない。また、FA資格の取得条件は、野手も投手も変わらない。しかし、FA移籍する選手は野手の方が20%ほど多くなっている。

タイトル獲得者となると、その数は少ない……


2018年オフに西武から楽天へFA移籍した浅村は今季、本塁打王を獲得した


 さて、投手よりも野手のほうがFA移籍した選手が多いが、実際に活躍した割合はどうなっているのだろうか。今回は、「活躍度合い」の分かりやすい指標として、FA移籍後に打撃・投手タイトルを獲得するような活躍をしたかどうかを調べてみた。

 まずはFA移籍した投手で、移籍後にタイトルを獲得した選手は以下の5人だ。

工藤公康(1994年/西武→ダイエー)最優秀防御率、最多奪三振
杉内俊哉(2011年/ソフトバンク巨人)最多奪三振
涌井秀章(2013年/西武→ロッテ)最多勝利
岸孝之(2016年/西武→楽天)最優秀防御率
山口俊(2016年/DeNA→巨人)最多勝利、最多奪三振、最高勝率

 次に、野手でFA移籍後に野手タイトルを獲得したのは以下の6人。

金本知憲(2002年/広島阪神)最多打点
稲葉篤紀(2004年/ヤクルト日本ハム)首位打者、最多安打
新井貴浩(2007年/広島→阪神)最多打点
和田一浩(2007年/西武→中日)最多安打、最高出塁率
内川聖一(2010年/横浜→ソフトバンク)首位打者、最多安打
浅村栄斗(2018年/西武→楽天)最多本塁打

 FA移籍後にタイトルを獲得するような活躍を見せた選手は投手と野手でほぼ変わらず。というよりも、89選手がFA移籍を果たしている中でタイトル獲得は計11人しかいないほうが驚きだ。もちろん、FA元年に移籍した駒田徳広落合博満、またタイトル獲得とはならなかったがリーグMVPとなった小笠原道大など、チームに大きな貢献を果たしたFA選手も多い。しかし、「タイトル獲得の有無」で測った場合は、期待どおりの活躍ができなかったケースのほうが多いのだ。

 今オフはFA市場の目玉だったヤクルトの山田哲人が早々に残留決定となったが、11月27日現在、DeNA・梶谷隆幸井納翔一がFA権行使を表明し、広島・田中広輔、西武・増田達至など注目選手の動向は未定。どのチームに移籍するのか、はたまた残留となるのか気になるところだ。果たして今回のFA移籍で投手と野手のFA人数の差は縮まるのか、その点にも注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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