今年の日本シリーズは
ソフトバンクが
巨人を4勝0敗で下し、4年連続の日本一を決めた。引き分けもなく、4試合4連勝で日本一が決まったのは今年で7回目だった。
過去6回は、1959年の南海対巨人、1960年の大洋対大毎、1990年の
西武対巨人、2002年の巨人対西武、2005年の
ロッテ対
阪神、2019年のソフトバンク対巨人(前者が日本一)。
この日本シリーズ4連勝の歴史の中で、特筆すべきは1959年の南海対巨人だろう。南海のエース、杉浦忠が一人で4勝を挙げたのだから。
第1戦は先発して8回を9安打3失点、第2戦は3番手として登板し5回3安打1失点。中1日空いた第3戦は先発して10回を10安打2失点、そして第4戦も先発して9回5安打無失点。球数は順に、124球、64球、98球、106球の熱投だ。
杉浦は立教大から南海に入団して2年目のアンダースロー。シーズンでは38勝4敗、防御率1.40を記録して南海をリーグ優勝、続けて日本一へと導いた。この年、1959年のプロ野球は、まさに杉浦のシーズンだったと言えるだろう。
ただ、日本シリーズで4勝を挙げた投手が、実はもう一人いる。杉浦の一年前、1958年の
稲尾和久(西鉄)だ。この年の日本シリーズは西鉄が巨人に3連敗から4連勝を飾って日本一に輝いた。
7試合のうち、稲尾が投げなかったのは第2戦のみ。あとの6試合すべてに登板して4勝2敗の成績を残した。投球回数は杉浦の32回をしのぐ47回。第5戦にはサヨナラ本塁打も放った。ある意味、杉浦の4連勝よりもすごいかもしれない。
写真=BBM