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2020惜別球人

【2020惜別球人】楽天・渡辺直人 「一流の脇役」として過ごした14年間

 

楽天に必要な選手


11月6日の引退試合で2安打を放つハッスルぶり


 楽天でプロとしての第一歩を刻み、DeNA西武と3球団を渡り歩いた。全力プレーを貫き、その姿がファンに愛された。11月6日の西武戦(楽天生命パーク)終了後に行われた引退式で言った。

「自分が全力でプレーできた最大の要因は、ファンの皆さんの声援のおかげです。応援歌の中にある『我らの直人』というフレーズは本当にありがたかったです」

 2007年、楽天入団当時の指揮官は野村克也だった。ヤクルト時代に黄金期をもたらした名将に教わったのは「一流の脇役になれ」だった。厳しいプロの世界で生き抜くため、どうやったら必要な選手になれるのか。厳しく指導されたという。「なかなか一流にはなれなかったかもしれませんが、この歳まで、今日まで野球を続けることができました」と胸を張った。

 その人間性で、チームメートへの影響力も絶大だった。10年オフに横浜(現DeNA)への金銭トレードが決まると、嶋基宏(現ヤクルト)ら主力選手が悔し涙を流した。当時の主砲・山崎武司も「出すべき選手ではなかったと思う」と、フロントの判断に疑問を投げ掛けた。それでも18年に古巣へ戻り、現役生活にピリオドを打つことになったのは、楽天に必要な選手だったからだ。

 引退試合では2本のヒットをかっ飛ばし、ヘッドスライディングで本塁に生還した。9回に慣れ親しんだ遊撃の守備位置に就くと、軽快なグラブさばきで併殺を完成。「14年間、夢のような時間をありがとうございました」。野球人生の集大成とも言えるプレーで自らの花道を飾った。

写真=BBM
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