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ヤクルト的2021年ドラフトの目玉? 2人の社会人投手

 

ヤクルトファンだという廣畑(左)と高橋(右)


 昨日、1月20日に発売した「週刊ベースボール2月1日号」は、ドラフト特集号だ。ヤクルト担当の私にとって、とても興味深い記事があった。

 三菱自動車倉敷オーシャンズの右腕、廣畑敦也投手の記事だ。なんと、ヤクルトファンだという。廣畑の父が熱心なヤクルトファンだった影響ということだが、勘のいい方は分かるだろう。敦也という名前は、あの古田敦也から取ったという。さらに弟さんの名前は臣吾。おそらく高津臣吾(現監督)から取ったのだろう。廣畑本人は伊藤智仁(現投手コーチ)が好きで、目標としているという。

 廣畑のことを知らない方もいると思うので、少し説明しておこう。ヤクルトファンでもそうでなくても、廣畑は間違いなく今年のドラフト上位候補に挙がってくる逸材だ。昨年11月の都市対抗開幕試合で、廣畑は前年王者のJFE東日本相手に9回7安打1失点と好投し、初戦突破へと導いている。日本ハムに指名された今川優馬や、高校、大学時代から実績のある峯本匠岡田耕太らを無安打に封じた。

 最大の武器はストレート。糸を引くように伸びるボールの威力は、強力打線が売りのJFE東を寄せ付けなかった。最速154キロを誇るボールの回転数はメジャー・リーガーと遜色ないレベルで、これに140キロ台のスライダーや、130キロ台のフォークを織り交ぜられてしまうと、並の打者では手が出ない。セガサミーとの2回戦で試合には敗れるも、廣畑自身は救援して3回1/3を無失点に抑えている。今年は高校生投手が豊作だが、確実に即戦力が欲しいチームは、上位で狙ってくるだろう。

 もう一人は、ご存じの方も多いだろう、東京ガスの左腕・高橋佑樹だ。彼も熱心なヤクルトファンで、ニックネームは「ボンバー」。慶大出身で、今年のルーキー・木澤尚文の先輩にあたる。

 昨年の都市対抗は、東京ガスとしての出場はならなかったものの、JR東日本の補強選手として東京ドームのマウンドに立った。今年は新型コロナウイルスの影響で社会人球界は公式戦中止が相次ぎ、2020年初の公式戦は都市対抗予選。ルーキーながら、その初戦となる東京二次予選1回戦で先発を任された。最速は143キロと派手さはないが、カーブ、スライダーといった緩急とコントロールでゲームを支配できる投手だ。ヤクルトで言えば石川雅規に近いタイプだろう。体力もあり、長いイニングを投げられる。

 昨シーズン、ソフトバンク育成から加入した長谷川宙輝がヤクルトファンということで、話題になった。贔屓チームを「ずっとファンだったので」と言ってくれる選手は、ファンとしても応援したくなる。廣畑と高橋がヤクルトのユニフォームを着て、神宮のマウンドに立つ未来を想像すると、なんだか胸が熱くなる。

文=依田真衣子 写真=BBM;}
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