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「1本くらいで感動してはダメ」。近鉄本拠地ラストゲームでデビューした栗山巧の言葉

 

2004年9月24日近鉄戦(大阪ドーム)でプロ初安打を放った栗山


「1本くらいで感動していてはダメです」

 2004年のシーズン終了後、栗山巧はきっぱりと言った。育英高から02年ドラフト4巡目で西武入団。プロ3年目、04年の最終戦に「九番・レフト」でプロ初出場を果たし、初安打を放っていた。それが9月24日近鉄戦。球団再編騒動により、球団が消滅することになっていた近鉄にとって、本拠地・大阪ドームでの最後の試合だった。

 4万8000人の大観衆が詰めかけ、異様な雰囲気でのプレーボールとなったが、「甲子園を経験しているので、久しぶりにお客さんがたくさんいる状況でのプレー。あの中にずっといたいな、あの中でずっと野球をやりたいな、ということをあらためて強く感じました」と当時、栗山は語っている。

 2回のプロ初打席は高村祐の前に二ゴロ。しかし、投じられた3球すべてをスイングした。「打てる球は振っていくのが、僕のスタイルですから。“振れた”ことに関しては良かったですね」。

 待望の初安打は7回の第3打席。小池秀郎から泳がされながらもライト前に運んだ。「そんなに大きな感動はなかったですね。だって同期のサンペイ(中村剛也)は一軍で2本もホームランを打っているじゃないですか。ほかのチームでも、同じくらいの年齢で活躍している選手がたくさんいますし。僕にとって大きなヒットでしたけど……」と答えた後に、冒頭の言葉が飛び出したわけだ。

 あれから17年。今季、20年目を迎える栗山は球団生え抜き初の2000安打まで残り74本と迫っている。しかし、本人に大記録への気負いはまったくない。

「目の前にある1打席で1本でも多くのヒットを打ちたい。その積み重ねが2000本に近付いていく。意識しないでいったら近付くと思います」

 そこには、やはり1本のヒットで一喜一憂しない考えが変わらずに貫かれているのだろう。

文=小林光男 写真=BBM
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