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背番号物語

【背番号物語】ソフトバンク「#41」千賀滉大の背番号は投手の出世ナンバー? 南海には内野手の“隠し球”も

 

岩嵜から千賀へ


13年に背番号を「41」に変更して大ブレークした千賀


 2020年に防御率2.16、11勝、149奪三振で投手3冠に輝いた千賀滉大が背負うソフトバンクの「41」。歴代のタイトルホルダーに比べて数字は小さいが、そんな小さい数字こそ、あの混乱のシーズンを戦い抜いた勲章と言えるかもしれない。千賀は育成ドラフト4巡目で11年に入団した。育成選手だから、最初は3ケタの「128」。翌12年シーズン途中に支配下となり、和田毅のメジャー移籍で空いていた「21」に。ただ、その支配下1年目は2試合の登板、勝ち星なしに終わる。

 その翌13年に岩嵜翔との“交換”で「41」を背負うと、セットアッパーとして51試合に投げまくって17ホールド。その後は故障もあって失速していったが、16年から先発に回ると、17年には勝率.765で初タイトルとなる最高勝率に輝き、ノーヒットノーランを含む13勝を挙げた19年には227奪三振で初の最多奪三振に。5年連続2ケタ勝利となった20年は初の最多勝に最優秀防御率、2年連続の最多奪三振でリーグ優勝、日本一に貢献した。ソフトバンクの「41」は、系譜のあるエースナンバーと趣は異なるものの、エースのナンバーであることは間違いない。

 巨人の「18」や中日の「20」なのように、エースナンバーの系譜として長い歴史がある背番号は、プロ野球が始まった1936年から選手が着けていたもの。このときは、すべてのチームに41人も選手がおらず、もちろん「41」という背番号は存在しない。ソフトバンクでも前身の南海で2リーグ分立の50年に捕手の北村修一が着けたのが最初。北村はデビュー戦で初安打を二塁打で飾るも、それが最後の出場となり、1年で引退している。翌51年は南海では欠番となったが、2リーグ制で「41」は一般的な背番号となり、少数派ながら投打ともに「41」の名選手が見られるようになって、時代が昭和から平成へと移り変わるとともに、西武渡辺久信、巨人の斎藤雅樹ら「41」の好投手が誕生した。

 今後も千賀がエースとして「41」を背負い続けて活躍するか、後継者に託して新たな背番号を着けるかによって物語は変わってきそうだが、千賀の前任だった岩嵜も、そんな好投手の1人だ。高校生ドラフト1巡目で2008年に入団。1年目から「41」を背負い、1年目から一軍のマウンドを経験すると、着実に登板機会を増やして、セットアッパーをメーンに「21」でブレークした。

ダイエー(写真)、ソフトバンクの11年間で背番号を「41」を着け続けた倉野


 岩嵜は5年間と短かったが、その前任者の倉野信次もセットアッパーを中心にスターターとしても機能した右腕で、ドラフト4位で1997年に入団して、引退するまでの11年間、一貫して「41」を背負い続けた右腕だ。同じく右腕の江口孝義(嵩芳)が最後の2年間だけ着けたのを挟んで、その前が左腕の青井要だ。ドラフト3位で83年に入団、南海では通算8試合の登板に終わったものの、チームがダイエーとなって2年目の90年にワンポイントをメーンに49試合に登板。勝ち星のないまま94年オフに現役を引退しているが、青井の12年間は現時点で最長だ。

南海では次々に野手が1ケタに“出世”


76年から82年まで南海で「41」を背負った立石は「1」「0」へ出世


 着ける期間で“長寿”の選手が多いソフトバンクの「41」だが、これも投手の系譜となってから強くなった傾向。2代目から清池英幸、窪田幸則が1年でリレーするなど、長続きしなかった。65年の島田軍治と71年の里見進が最短タイ、57年からの田中毅と66年からキャリア晩年の中島博征が2年ずつ、4代目の小辻英雄はプロ2年目の54年に「41」を背負って第2捕手として、62年には好打者の井上登が中日から移籍してきて、それぞれ3年間、68年から3年間の坂英男は一軍出場なし。遊撃のバックアップを務めた鶴崎茂樹が1年目の72年から75年まで背負って「2」へ“出世”してから風向きが変わり始めた。

 76年に後継者となったのが内野手の立石充男。やはりバックアップが中心で、芽が出るのには時間を要したが、82年に62試合に出場すると、83年の1年だけだったものの「1」となり、さらには南海で初めて「0」を背負った翌84年には隠し球を成功させてファンを沸かせた職人肌だ。選手としては南海ひと筋の立石だが、コーチとしては台湾や韓国も経験。指導者としての評価も高い。

【ソフトバンク】主な背番号41の選手
立石充男(1976〜82)
青井要(1983〜94)
倉野信次(1997〜2007)
岩嵜翔(2008〜12)
千賀滉大(2013〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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