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センバツ2021

「将来性ある投手が多かった」NPBスカウトが最注目した選手は誰か?/センバツ2021

 

1位候補として飛び抜けている小園


12球団のNPBスカウトはセンバツ1回戦の全16試合を視察。もっとも高い評価を得ていたのは市和歌山・小園健太だった


 1回戦最後のカードである大会第6日目(3月25日)の第1試合(中京大中京−専大松戸)を終え、出場32校がすべて出そろった。

 甲子園のネット裏で視察したNPBスカウトが注目した選手は誰か。複数球団の幹部に総括してもらった。

 日本ハム・大渕隆スカウト部長は「投手の大会でした」と語ると、オリックス牧田勝吾編成部副部長も「将来性のある投手が多かったです」と話した。また、ヤクルト・橿渕聡スカウトグループデスクは「ドラフト1位候補として、小園投手が飛び抜けており、左投手にも好素材がいました」と振り返った。

 もっとも高い評価を得たのが、市和歌山・小園健太である。オリックス・牧田副部長は「高校生の中で『右の本格派』と言えば、最初に名前を挙げたくなる」と語り、ヤクルト・橿渕デスクは「チームの軸になり得る能力を持っている」と惚れ込んだ。日本ハム・大渕スカウト部長は「1回戦は力んでいましたが、投球がうまく、2回戦ではコンディションを上げてくるはずです」と期待を込めている。

 このほか右投手では中京大中京・畔柳亨丞の評価が高く、ヤクルト・橿渕デスクは「小園投手は先発の柱、畔柳投手はリリーフとしての適性を感じる」と話した。また、仙台育英・伊藤樹のストレートのキレ、193センチ右腕の天理・達孝太の伸びしろ、広島新庄・花田侑樹の球質、聖カタリナ・櫻井頼之介の小気味良い投球にも熱い視線が注がれた。

 左投手では初戦敗退ながらも北海・木村大成が目立った。日本ハム・大渕スカウト部長は「角度が良く、とらえるのは難しい」と話せば、ヤクルト・橿渕デスクも「能力の高さを見せてもらいました」と評価した。

 ヤクルトのスピードガンでは東海大相模・石田隼都が今大会の初戦で唯一、150キロの大台に乗せたという。橿渕デスクは昨秋からのレベルアップを確認し、福岡大大濠・毛利海大、東海大甲府・若山恵斗、明徳義塾・代木大和の名前も挙がってきた。

 このほか、1年夏から経験豊富な智弁学園・西村王雅、県岐阜商・野崎慎裕の完成度の高い投球スタイルも評価されていた。

 投手では、見逃してはならない2人がいる。初戦敗退に終わった大阪桐蔭の150キロ左腕・松浦慶斗、154キロ右腕・関戸康介だ。今大会では本来の力を出し切れなかったとはいえ、プロ側としては「ジャッジ」する段階ではない。オリックス・牧田副部長は「春の府大会、夏と引き続き、調査を進めていきたいです」と強調した。

小園の“女房役”も高評価


 野手では市和歌山の捕手・松川虎生が際立ったという。

 県岐阜商との1回戦では小園を好リードで1対0の完封勝利へ導いただけでなく、打撃センスの良さも見せ「打てるキャッチャー」としての立場を確立した。イニング間の二塁送球も安定して1.9秒を切る強肩。広い視野に抜群のリーダーシップと、技術以外でも存分にアピールできたと言える。

 県岐阜商・高木翔斗のスケール感、福岡大大濠・川上陸斗のインサイドワークに注目する関係者もいた。

 内野手では智弁学園・山下陽輔のパンチ力、東海大相模・大塚瑠晏のトータル的な野球センスが光った。外野手では大阪桐蔭・池田陵真、智弁学園・前川右京、神戸国際大付・阪上翔也の打力、三島南・前田銀治と上田西・笹原操希は、攻守走の3拍子に注目するスカウトもいた。

 オリックス・牧田副部長は「今回の視察は貴重な資料になりますが、1試合だけで、どうこうということはありません。高校生は未知ですし、可能性を秘めています。この春、そして夏にかけて急成長する姿を見守っていきたいです」と話した。

 昨年のドラフト戦線は、コロナ禍により3月末から6月にかけ活動がストップした。2021年は今後、徹底した感染予防対策の下で、試合視察が本格化していく。

文=岡本朋祐 写真=高原由佳
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