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突き詰めた「徹底力」“教訓”を生かして神奈川ベスト8進出の向上。目標は「第1シード」

 

「日々の成長を感じています」


向上高は横須賀学院高との神奈川県大会4回戦(4月20日)を突破。8強進出により、夏の県大会の第2シードを手にした


 向上高には教訓となった2試合がある。昨秋の神奈川県大会3回戦(対相洋高)。7対2とリードして9回裏の守りを迎えながら、6失点でサヨナラ負け(7対8)を喫している。

 向上高・平田隆康監督は回顧する。

「27個のアウトを取り切るんだぞ! と言ってきました。自分たちでできることの『徹底力』を突き詰める。合言葉として『一体感』を言う機会は多いです」

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、練習時間、実戦機会も制限される中、春季神奈川県大会を迎えた。川崎工科高との初戦(2回戦)を突破すると、鎌倉学園高との3回戦では6対2で快勝。鎌倉学園高は昨秋の県大会準優勝で、関東大会8強。センバツの補欠校に選出された第1シード校を撃破したのだ。

「2年前の春、鎌倉学園さんには延長タイブレーク(14回、3対4、準々決勝)でやられています。後半に粘れなかった。経験したことを生かせました。『一戦必勝』と言ってきていまして、公式戦を1試合でも多く詰めることで、日々の成長を感じています」(平田監督)

 3回戦から中2日。横須賀学院高との4回戦は1回表に1点を先制されるも、その裏に5長短打を集中して3点を挙げ逆転。中盤にも得点を重ね、6対2で逃げ切っている。8強進出で、夏の県大会の第2シードを獲得した。

 向上高は昨年6月、新練習場(向上令和グラウンド、両翼95メートル、中堅120メートル)が完成。これまでは内野ほどのスペース(校庭)しかなかっただけに、待望の専用グラウンドで思う存分、汗を流すことができる。

 平田監督は「環境を整えていただき、すごく利点はある一方で、甘えとか、デメリットにならないよう工夫して、スペースを有効活用しています。グラウンドで入っている人たちだけがやっているような形にはしたくない」と語る。打者と走者の打球判断など、実戦につながるメニューは大きな力になっている。

 24日の準々決勝は、日大藤沢高と対戦する。背番号14の主将・赤嶺大翔(3年)は言う。

「目標は(勝利して)第1シードです。やるべきことをやって、常日頃から応援していただいている方に勝利という形で恩返ししたい」

 ベンチ入り25人だけでなく、スタンドを含めた120人近い全部員の組織力で次戦へ向かう。

文=岡本朋祐 写真=菅原淳
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