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プロ野球はみだし録

いち早く「本拠地は仙台」と明言も……幻に終わった東北の“フェニックス”【プロ野球はみだし録】

 

近鉄の消滅、楽天の参入


左からライブドアの小島暫定GM、日野スカウティングディレクター、オマリー監督、堀江社長


 現在進行形の出来事には触れない。ただ、飛び込んできた福岡北九州フェニックスという名称に、17年前の激動を思い出したファンは少なくなかっただろう。

 衝撃が走ったのは2004年6月13日。近鉄がオリックスとの合併が合意したことを発表したのだ。その後、ダイエー(現在のソフトバンク)とロッテの“もう1つの合併”や“1リーグ制への移行”などの紆余曲折、プロ野球で最初、そして現時点で最後のストライキを経て、現在の形に落ち着く。近鉄はオリックスに吸収される形で“消滅”してオリックス・バファローズとなり、新たに楽天が誕生した。この怒涛の中に消えた幻の“球団”があった。名称が仙台ライブドア・フェニックスだ。

 近鉄とオリックスの合併が表面化してから17日後の6月30日、インターネット関連会社のライブドア社が近鉄を買収する意向を表明するも、これを近鉄が拒否。一方で“オリックス・バファローズ”は着実に具体性を帯びていき、ライブドア社が新球団を創設してプロ野球へ参入する意向を示したのは8月19日だった。楽天が仙台を本拠地にNPBへ加盟を申請したのは9月22日だが、いち早く「本拠地は仙台」と表明していたライブドアを多くの宮城県民は支持。ネット投票で球団の名称が決まったのは10月26日だ。

 このときの“フェニックス”も、かなり具体的になっている。10月13日に日本ハムのSHINJO(新庄剛志)のメジャー時代に通訳を務めた小島克典氏が暫定GMに就任。さらに翌日の審査委員会による第2回公開ヒアリング後、阪神ヤクルトでプレーし阪神駐米スカウトを務めていたトーマス・オマリー氏の監督就任、元湘南(横浜二軍)監督の日野茂氏のスカウティングマネジャー就任を発表した。コーチ陣も水面下でリストアップが進んでいて、参入が認められれば、その秋のドラフト1位では最有力の候補として地元の東北高からダルビッシュ有(現パドレス)が挙がっていたという。

 ただ、結局、球界参入はかなわず、時が流れた。フェニックスは死んでも蘇る架空の鳥だというが、果たして。

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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