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松井秀喜、高橋由伸、清水隆行の強打者トリオより恐れられた「セ界最強の外野陣」とは

 

松井のメジャー移籍で終止符


左から清水、松井、高橋


「最強の外野手トリオ」で連想する3選手は誰だろうか。パ・リーグでは1995、96年とリーグ連覇を果たしたオリックスの「イチロー田口壮本西厚博」が強烈だった。3選手は堅守、強肩で右中間、左中間の抜けそうな打球も好捕していた。投手にとってこれほど頼もしい外野陣はいないだろう。また、80年代後半から90年代前半にかけて西武の黄金時代を築いた「秋山幸二平野謙羽生田忠克」の外野陣も忘れられない。秋山は10年連続を含む歴代2位タイの計11回のゴールデン・グラブ賞を獲得。平野もゴールデン・グラブ賞9回で、羽生田はレギュラー定着とはならなかったが球界屈指の鉄砲肩と球際の強さに定評があった。

 セ・リーグでは「攻撃型の外野陣」が印象深い。強烈だったのは90年代後半から2000年代前半に主軸として活躍した巨人の「松井秀喜高橋由伸清水隆行」だ。松井秀喜は言わずと知れた球界を代表するスラッガー。本塁打王、打点王をともに3度、首位打者を1度獲得した。俊足巧打の天才打者・高橋は打撃タイトルに縁がなかったが、シーズン打率3割を7度マーク。清水は左翼の守備で肩に難があったが、広角に打ち分ける高度な打撃技術で一、二番として活躍した。02年にはリーグトップの191安打をマーク。高橋、松井を支える縁の下の力持ちのような役回りだったが、長距離砲が多い中でチームに不可欠な選手だった。この3人は98〜02年まで5年間ともにプレー。松井がヤンキースにFA移籍することで終止符を打った。

 打撃面を考えれば、「セ界最強」と言っても良いぐらいの迫力だったが、これに待ったをかける強力な布陣が広島の「前田智徳緒方孝市金本知憲」だ。3人がそろってレギュラーで活躍した時期は90年代後半から00年代前半。前田、緒方が故障で抜けた時期はあったが、「対戦していて広島の前田、緒方、金本が一番怖かった」と証言する他球団の投手たちは多い。

球史に残る超一流選手の3人


左から金本、前田、緒方


 前田は武士のような佇まいで、まさに打撃の求道者だった。92年から3年連続打率3割をマーク。95年に右アキレス腱を断裂して以降は下半身に不安を抱え、万全なコンディションで試合に臨む日は少なかったが、その後も打率3割を8度マーク。現役時代に対戦した落合博満は打撃指導の際、「前田は理想の打撃フォーム」と絶賛していた。07年にプロ通算2000安打を達成。本物の天才打者だった。

 3選手の中で身体能力が最も高かったのが緒方だった。攻守走3拍子そろったスケールの大きいプレーで、95年から3年連続盗塁王、5年連続ゴールデン・グラブ賞を獲得。95年の47盗塁は規定打席到達せずに達成したシーズン最多記録として現在も破られていない。99年も打率.305、36本塁打と自己最高の成績をマーク。全盛期は西武・秋山とともに「メジャー・リーグに最も近い野手」と評価されるほどのオールラウンダーだった。

 金本は「努力の人」だ。並外れた練習量とウエートトレーニングで鍛え上げられた鋼の肉体で外野のレギュラーに。00年に打率.315、30本塁打、30盗塁でトリプルスリーを達成。広島時代は俊足にも定評があった。阪神にFA移籍後も主力として活躍し、99年から2010年まで1492連続試合フルイニング出場の世界記録を達成。骨折しても試合に出続ける不屈の精神で通算2539安打、476本塁打を積み上げた。

写真=BBM
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