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打線の破壊力はセ・リーグNo.1 ヤクルトは「逆転優勝の奇跡」を起こせるか

 

相手にして最も怖い打線


四番に座る村上を中心に強力打線を形成するヤクルト


 戦前の下馬評が低かったヤクルトが健闘している。6月12日の時点で29勝24敗7分の貯金5。首位・阪神に7ゲーム差と少し背中は遠いが、2位・巨人に1ゲーム差で追走している。

 目下リーグ3位の257得点。成長著しい塩見泰隆がリードオフマンを務め、二番は今月に入って調子を上げているチームの野手最年長・青木宣親、クリーンアップに並ぶ山田哲人村上宗隆と球界を代表する強打者コンビがポイントゲッターとなり、サンタナオスナの両外国人も変化球にきっちり対応するなど助っ人外国人に危惧されたもろさがない。一時は二番を務めていた中村悠平も打撃好調だ。代打にも首位打者経験がある川端慎吾内川聖一が控える。

 野球評論家のデーブ大久保氏は週刊ベースボールのコラムでヤクルト打線について、以下のように分析している。

「打線のほうでは、新助っ人のオスナとサンタナがそこそこの成績を出しています。この2人の存在は大きいですよね。新型コロナ禍で来日が遅れた上に、まったく打てない助っ人だったら……なかなか勝てる要素が見つからないチームになっていたかもです。そう考えると、開幕の時点で、助っ人がいなかったことが、今シーズンの『底』だったと思っていたのではないでしょうか。『今一番苦しい時期だから、頑張ろう』という考えでスタートしたのだと思いますし、助っ人2人がある程度活躍したことで『よし、行ける』とチームに勢いがついたのでしょう。それに助っ人が合流できない間に、若手が一軍の経験を積めたことは、今後のシーズンに生かされると思います」

 セ・リーグのある投手も、「ヤクルトの打線が対戦していて一番怖いですね。昨年までは山田、村上にカウント不利になったら無理に勝負せず、後続の打者で打ち取れましたが、今年はサンタナ、オスナが入って気が抜けなくなった。切れ目のない打線で、一歩間違えると大量失点につながるので細心の注意を払って投げています」と警戒を強める。

カギを握るのは投手陣


投手陣では巨人からトレードで加入した田口の存在感が大きい


 強力打線は好機と見るや一気にたたみかけ、主導権を握る。だが、昨季までのヤクルトは点を取っても投手陣が踏ん張れず、それ以上の失点を重ねていた。多くの野球評論家がヤクルトを最下位に予想した不安材料として挙げていたのが、投手陣だった。

 先発のコマ不足で悩んでいた中、巨人から廣岡大志とのトレードで獲得した田口麗斗が大きなプラスアルファをもたらしている。今季11試合登板で3勝4敗、防御率3.12。白星に恵まれていないが、開幕から先発ローテーションできっちり回っている。9日のロッテ戦(ZOZOマリン)では7回途中3失点の粘投で今季3勝目をマーク。明るい性格で盛り上げ役になるなどすっかりチームに溶け込んでいる。小川泰弘も11試合登板で6勝1敗、防御率3.33。ここまではエースの役目をきっちり果たしている。3番手以降も金久保優斗サイスニード石川雅規スアレス奥川恭伸高梨裕稔と先発枠を巡り、激しい競争を繰り広げている。

 救援陣に目を移すと、守護神・石山泰稚は救援失敗が続いて配置転換したのは誤算だったが、清水昇マクガフ今野龍太梅野雄吾坂本光士郎と球に力のある投手たちがそろっている。

 コロナ禍で120試合制だった昨年は7月を終えた時点で17勝14敗4分と健闘していたが、その後は大量失点を喫する試合が続いて借金28の最下位に低迷。打線の破壊力は間違いない。投手陣が勝負の夏場も踏ん張れるかが、逆転優勝に向け、大きなポイントになりそうだ。

写真=BBM
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