週刊ベースボールONLINE

週べ60周年記念

東映が日拓ホームに身売り/週べ回顧1973年編

 

 3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

選手も一喜一憂


表紙は巨人長嶋茂雄


 今回は『1973年2月5日号』。定価は100円。

 東映フライヤーズが日拓ホームに身売りした。

 週刊誌のタイムラグもあってか、前号は何も記事がなかったのに、この号では買収への賛否両論が載っていて、細かい時系列の流れがよく分からない。

 日拓ホームはレジャー産業、旅行代理業、パチンコなど幅広くやっていて、当初は「日拓観光」という会社名だったが、プレハブ事業を始めることで「日拓ホーム」と企業名を変えたばかりだったらしい。

 西村昭孝社長は、戦後、台湾から引き揚げ、警官になったが、その後、退職し、1965年に会社を設立した。

 会見で、今回の買収額を「8億円前後と考えてもらっていい」と話した西村社長は、「NHKですらスポーツの時間にわが社の名前を出すくらいですからな。自社のプレハブ製品を全国的に販売する計画があるので宣伝効果を期待して」と話していた。
 
 身売りを聞いた張本勲は、「長い間世話になっていた東映がなくなるのは寂しいことだ。だが、選手はグラウンドでプレーするもの。新しいチームとして生まれ変わったのだから気持ちを入れ替えて頑張りたい」としんみりした様子で語ったが、聞いたこともなかった会社でもあり、不安を持っていた選手が多かったようだ。

 1月19日、東映の新春パーティーが監督、主要選手と西村社長との初顔合わせ。

「やるからには人に笑われないように本腰を入れてやる。これまでの経営者は選手に夢を与えなさ過ぎた。やればやるだけ金は出す。今は落ち気味という人気を必ず挽回させる企画もある。フライヤーズは優勝する力があると思うので、それを後押しするように資金もどんどんつぎ込む」

 41歳の若社長の威勢のいいあいさつに「東映がなくなるなんて、ものすごいショックです」と言っていた大杉勝男も、「あれだけ言われるとやる気が充満してくる。これで安心。大いに張りができた」と笑顔で話していた。

 一方、売った側の大川オーナーは、「いい買い手に任せられる喜びはあるが、やはり胸にはぽっかりと穴が空いている。正直寂しい」と言っていた。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング