週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

交流戦優勝のオリックスの勢いは本物か 「黄金の先発陣」でリーグ優勝も視界に

 

安定感が際立つ先発陣


高卒2年目の宮城はここまで6勝とすっかり独り立ちした


 今最も勢いがあるチームがオリックスだ。12勝5敗1分と2010年以来11年ぶり2度目の交流戦優勝を飾った。交流戦開幕カードのDeNA戦こそ1勝2敗と負け越すも、以降の全カードは勝ち越し。今季は勝率5割の壁が高く8度の挑戦はすべて黒星ではね返されていたが、9度目の正直となる6月10日の巨人戦(京セラドーム)で6対0と快勝して、ついに借金完済。続く広島に同一カード3連勝で一気に加速した。1分を挟んで6連勝と白星を積み上げて順位は3位に浮上し、首位・楽天に2ゲーム差まで接近。25年ぶりのリーグ優勝も十分に狙える位置につけている。

 投打ががっちりかみ合っている中で、安定感が際立つのが先発陣だ。6月の先発陣のチーム防御率2.10。山本由伸山岡泰輔宮城大弥田嶋大樹山崎福也増井浩俊の先発ローテーションがきっちり稼働している。

 他球団のスコアラーは「先発陣のクオリティーは12球団No.1だと思います。山本が良いときは手の打ちようがない。あと宮城の存在も大きいですね。高卒2年目とは思えないですね。打者を見る洞察力に長けていて、マウンド上の風格に余裕すら感じる。この2人が抜群の安定感なので大型連敗しない。山岡、田嶋、山崎、増井も力がある投手でスタミナもある。6人それぞれ違うタイプなので本当に厄介ですね」と警戒を強める。

 山本が12試合登板で6勝5敗、リーグトップの防御率2.08。立派な数字だが、能力や積み上げた実績を考えれば不思議な数字ではない。戦力として大きなプラスアルファになっているのが高卒2年目の宮城だ。左腕エースとして完全に独り立ちした雰囲気がある。150キロ近い直球と100キロ台のスローカーブを交えた緩急自在の投球で凡打の山を築く。9日の巨人戦(京セラドーム)では7回1失点の快投で今季6勝目。自己最多の13奪三振と圧巻の投球だった。

 野球に取り組むストイックな姿勢は髪型にも表れている。今季は「負けるまで伸ばす」と誓い、開幕から連勝が続きどんどん長くなっていったが、6月2日の阪神戦(甲子園)に登板して5回2失点で初黒星を喫すると、11日に長髪をバッサリ切った衝撃の丸刈り姿で登場。オリックスは同日に公式ツイッターで「神様仏様宮城様 宮城投手がスッキリしました」と新しいヘアースタイルを紹介。宮城はファンに向かって「今日からまたイチから頑張ります。応援よろしくお願いします」とメッセージを送っていた。

苦手チームを作らないことがカギ


 先発陣が踏ん張っても、救援陣が踏ん張れずに勝ち星を逃した試合が春先は目立ったが、4年ぶりにメジャー・リーグから復帰した平野佳寿を守護神で固定できるようになったのも好調の要因だ。開幕当初は漆原大晟が務めていたが結果を残せず、その後はヒギンス能見篤史が抜擢された。なかなか固定できなかったが、平野が頸部痛から6月に復帰すると6試合連続無失点と試合をきっちり締められるようになった。腰痛から復帰したヒギンスもセットアッパーとして8試合連続無失点と安定感を取り戻している。「勝利の方程式」が確立したことで、試合の主導権を握ると逃げ切れる自信がチーム全体から漂うようになった。

 優勝候補の大本命・ソフトバンクが交流戦で5勝9敗4分と失速し、パ・リーグは混戦を迎えている。オリックスがカギを握るのがソフトバンクとロッテ戦だ。最下位に沈んだ昨年はソフトバンクに5勝17敗2分、ロッテに5勝18敗1分大きく負け越した。今年の対戦カードを見ると、ソフトバンクに5勝6敗、ロッテに3勝6敗2分といずれも分が悪い。オリックスは苦手チームを作らないことがリーグ優勝に向けて大きなカギを握る。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング