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打点でリーグトップ チャンスに強い楽天・島内宏明に、「走者がいると雰囲気が変わる」と警戒の声が

 

打撃センスは天才的



 楽天の四番を務め、7月11日現在リーグトップの64打点をマークしているのが島内宏明だ。7月11日現在で打率.250、11本塁打。打率は決して高くないが、石井一久監督が四番を託している理由が勝負強さだ。得点圏は打率が.360と一気にはね上がる。走者がいない場面では打率.167だが、走者がいると別人のように打ちまくる。

 他球団のスコアラーは「走者を置いた時の島内は打席での雰囲気が変わる。甘い球は確実に仕留める。もともと打撃センスは天才的なモノがある。何を狙っているか分からないので対策が難しい。島内の前には走者を置かないのが最大の防御策ですね」と分析する。

 チームメートも一目置く打撃技術。島内は発想も独特だ。試合中に発せられる独特のコメントが楽天ファンの間で話題に。4月6日の西武戦(メットライフ)で今季1号右越え2ランを打ち、「コブ(小深田大翔)がこぶしの効いたバントをしてくれたんで、僕もこぶしのバッティングができたかな?? 以上!!(真顔で)」とコメント。5月11日の西武戦(楽天生命パーク)で初回に左越え同点適時二塁打を放った際は、「今日、投手が打撃練習をしていて、安樂(智大)が(自分より)1.5倍飛ばしていたので、練習していないのに打球を飛ばしていたので腹が立ちました。安樂打法です(真顔で)」と振り返っている。

 ただ、感性だけでプレーしているかというと違う。6月上旬の週刊ベースボールのインタビューでは、投手の打撃動画を見ていることを告白。「『ここの使い方がいいから打球が飛ぶんだな』とか、とても勉強になります」とその理由を語り、「最近では森友哉(西武)や大谷翔平君(エンゼルス)ですかね。体の使い方がすごいですね。うまいです。森のように体がそれほど大きくないのに(打球を)飛ばせる人は何かを持っている。ある程度しっかりした動きをしないとボールに力が伝わらないので、そういう意味で小柄な人のバッティングというのはすごく参考になるんですよね。体が大きくてもうまい人はいますけど、小さい人のほうが参考にはなります」と熱弁している。

 意外なことにプロ入り9年間でシーズン3割をマークしたことが一度もない。だが、本人はその数字にこだわりがない。フォ・ア・ザ・チームの精神が強い男は「それより出塁率ですね。やはり出塁率は打率に比べて、計算が立つ部分なので。ヒットを打つことはなかなか難しいことなのですが、フォアボールなら何とかなる。もちろん3割を打てるに越したことはないですけど、出塁することがチームのためだと思っているので」と強調する。

「今は本当に優勝したい」


勝負強い打撃は相手にとって脅威だ


 楽天が前回リーグ優勝、日本一を飾ったのは2013年。島内はプロ2年目で97試合出場、打率.284、6本塁打、38打点をマークしたが、シーズン終盤に左肩痛で離脱して優勝の瞬間に立ち会えなかった。

「あのときは寮生だったので、寮のテレビで見ていましたね。ただそのときは2年目と若かったですし、すごくがむしゃらにやっていたので、あまり何とも思わなかったというか……、ファン目線でしたね(笑)。今は本当に優勝したいなと思っています」。

 8年の月日を経て、不可欠な存在になった。四番の島内が打てば、勝利の確率がグッと上がる。歓喜の瞬間を、今度こそグラウンドで叶える。

写真=BBM
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