阪神の佐藤輝明は、今季最も注目を集めているルーキーだ。豪快なバッティングでセ・リーグ4位となる20本塁打をマークするだけでなく、三振数も121と両リーグぶっちぎり(2番目に多い選手でも96)の数字を残している。これまでの新人最多は121三振のため、新人三振記録の更新は間違いない。さらには、シーズン三振数の現役最多記録をも樹立しそうな勢いだ。では、現役選手のシーズン三振トップは誰なのだろうか?
現役トップはヤクルトの主砲
2021年7月17日時点でNPBに在籍する「現役選手」のシーズン三振記録を調べ、以下にTop10をまとめてみた。
第1位 184三振 村上宗隆(ヤクルト/2019年)
第2位 172三振
中村剛也(
西武/2015年)
第3位 162三振 中村剛也(西武/2008年)
同3位 162三振
浅村栄斗(
楽天/2019年)
第5位 157三振
梶谷隆幸(
DeNA/2017年)※現在は
巨人所属
第6位 156三振
エルネスト・メヒア(西武/2015年)
第7位 154三振 中村剛也(西武/2009年)
第8位 153三振 エルネスト・メヒア(西武/2015年)
第9位 150三振
堂林翔太(
広島/2012年)
同9位 150三振
コーリー・スパンジェンバーグ(西武/2020年)
現役トップは、今やヤクルトの主砲に成長した村上。2019年は高卒2年目ながらレギュラーに抜擢され、全143試合に出場して36本塁打、96打点と大暴れした年だ。本塁打は多かったが凡退も多く、打率はリーグ最下位(規定打席到達内)の.231。三振数も多く、日本人選手歴代最多の184三振を喫してしまった。シーズン三振のNPB記録は、近鉄の
ラルフ・ブライアントが1993年に記録した204三振が最多で、以下Top3はいずれもブライアントの記録が並ぶが、村上はブライアントに次ぐ数字を残しているのだ。
村上に更新されるまで日本人最多だったのが西武・中村。現役最高のホームランアーチストは三振も多く、2015年は自身最多の172三振をマークした。シーズン三振数は村上に譲ったが、通算三振は1858個(2021年7月17日時点)で
清原和博の1955個に次ぐ歴代2位。歴代トップの座も近い。
中村は2008年に162三振を記録しているが、これに並ぶのが楽天の浅村だ。西武からFAで楽天に加入した最初の年である2019年に、中村と同じ162三振をマークした。この年は長打狙いのバッティングが増え、キャリアハイとなる33本塁打を記録したものの、三振数も増加。しかし、翌2020年は前年とほぼ同じ32本塁打を記録したが、三振数は111。ただ昨年は120試合制で前年より打席数は100以上少なかった。
豪快なバッティングで長打が期待される助っ人は、三振が多くなる傾向にあるが、意外なことに現役でTop10に入った助っ人は
メヒアとスパンジェンバーグのみ。
ブランドン・レアードやウラディミール・バレンテインあたりは入りそうに思えるが、実はそんなにシーズン三振数は多くないのだ。
現役トップはヤクルトの主砲
あらためて現役選手のシーズン三振数を振り返ってみると、「西武や元西武の選手が多い」という印象を受ける。昔から西武は豪快なスイングをする選手が日本人、助っ人問わず多いが、もはやこれは伝統といえるだろう。
阪神の佐藤は84試合時点ですでに121三振。59試合も残っているため、前半戦と同じペースで三振を重ねた場合、最終的に200三振をも超えて204三振に到達することになる。シーズン三振現役最多の村上を超えるどころか、NPB最多のブライアントも抜きかねない勢いだ。
もしシーズン200三振のペースを毎年続けた場合、たった10年で通算三振歴代最多の清原を抜く計算になる。そう考えると、佐藤の三振ペースがどれだけ恐ろしいものなのか分かる。
三振ばかりがクローズアップされているが、佐藤は本塁打でも
大下弘が記録した新人左打者最多に並ぶ数字を現時点で記録している。残り試合を考えると、大きなケガがない限りは、偉大なレジェンドを超えてくるだろう。まさに規格外のルーキーである佐藤輝明。後半戦もそのバッティングから目が離せない。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM