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若獅子インタビュー

森友哉、岡田雅利を超えるために。西武・柘植世那が掲げる攻守の具体的な課題/2021若獅子インタビュー第15回

 

今季の目標は「スタメンで20試合出場」


今季、2年目を迎えた柘植(球団提供)


 捕手の魅力を「勝敗を左右するポジションなので試合を決められるところ」だと語るのは2019年のドラフトで5位指名を受け、埼玉西武に入団した柘植世那。小学1年生から野球を始め、高校ではキャプテンを務めた。高校3年時にプロ志望届を提出するも指名漏れとなり、本田技研工業に入社後、Honda鈴鹿野球部に所属。社会人4年目でようやくの指名となった。

 17試合に出場して打率.184、2本塁打という成績でシーズンを終えたプロ1年生の2020シーズンは、「プロの世界で、継続して結果を残すことが本当に難しいことだと感じました」と振り返った。

 2年目を迎えるにあたり、オフにはスローイングの課題に取り組んだ。Honda鈴鹿での自主練習に参加した際、オリックス・バファローズ若月健矢選手に話を聞きながら、体の使い方を学び、数日間の練習をともにした。若月選手と言えば捕手の中でも守備力に定評のある選手だ。「若月さんからは胸郭のひねりや使い方を教えていただきました。身ぶり手ぶり教えていただいて、とても参考になりました」と充実したオフを過ごした。

 春季キャンプはケガの影響でB班参加となり、ケガをする前の状態まで戻すことが優先だったものの、キャンプ中盤には回復。それ以降は開幕一軍に照準を合わせた。今シーズンの目標を「スタメンで20試合出場」とし、「出場機会が限られてしまいますが、最少失点で抑えることを一番に考えています」と意気込みを語っていた。

 7月に入り、シーズンも折り返し地点。前半戦でスタメン出場したのは5試合だが、自分の思い描いた試合ができたのは、そのうちの2試合だけだった。交流戦での横浜DeNAベイスターズ戦と中日ドラゴンズ戦。「3点以内で抑えて勝ちましたが、もう少し抑えたいですね」とその2試合も決して満足はしていない様子。

目標とする選手は「いない」


打撃もレベルアップさせていく(球団提供)


 いまチームには岡田雅利森友哉という大きな壁が存在するが、その2人を超えるために柘植は、リード面、スローイング、打力、小技すべてのレベルアップが必要だと考える。「スローイングはステップ幅と位置、左肩の方向(セカンドベースに向けての方向を一定にする)、投げ終わった後に左に流れないようにすること。リード面では、大きな失敗につながらないよう、打者に合っていない球やしっかり低めに来る球を選んでサインを出すこと。打撃については右ヒジが離れる癖があったが、くっつけて打つようにしたらいい感触を得たので、それを続けていくこと。小技は作戦指示が出たときに、しっかり決められるように準備をしていくこと。これができるようになれば2人に追いつくことができると思っています」と具体的な課題を挙げ、この練習期間中に自分を追い込む予定だ。

 後半戦に向けては、「前半戦よりチームに貢献すること、スタメンなど出番のあるときはしっかり結果を残せる準備をしていきたいと思います」と意気込み語った。

 専門的な技術を要する捕手というポジションだが、プロ野球界で目標とする選手は「いない」と断言する柘植。「技術を盗みたいというよりは、その選手を超えたいという気持ちです。マネをすることは自分の形を崩すことになるので、自分の形を貫きながら、でも周りの意見も取り入れて、それを頭に入れて自分に合うようにしていきたいと思っています」。

 普段の優しい表情からは想像もできない言葉に、柘植の中にある強い芯が見えた。

西武ライオンズ広報部
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