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高校野球記録ノート

大阪の勝率は.734…夏の甲子園、2000年代で勝率が一番いい都道府県は? 大健闘している東北勢【高校野球記録ノート】

 

大阪勢は5度の優勝


西谷浩一監督率いる大阪桐蔭は2000年以降、夏の甲子園で4度全国制覇を果たしている


 東京オリンピック閉会式の翌日、8月9日から2年ぶりに夏の甲子園大会が開催される。昨年は新型コロナの影響により開催されず、センバツ出場予定だった32校が1試合のみの「交流戦」が行われた。今年は無事に開催にたどり着いたが「原則無観客」とまだまだ新型コロナの影響は残っている。

 2019年は大阪代表の履正社、その前年は北大阪代表の大阪桐蔭と2年続けて大阪勢が優勝しているが、2000年以降の20年間の都道府県別でどこが1位なのかを調べてみた。勝率でトップテンを出すと、

  1位 大阪  47勝17敗   率.734 優勝5回
  2位 東京  69勝37敗1分 率.651 優勝3回
  3位 神奈川 39勝21敗   率.650 優勝1回
  4位 青森  34勝20敗   率.630 優勝なし
  4位 宮城  34勝20敗   率.630 優勝なし
  6位 和歌山 28勝19敗   率.596 優勝1回
  6位 高知  28勝19敗   率.596 優勝1回
  8位 沖縄  26勝19敗   率.578 優勝1回
  9位 愛媛  27勝20敗   率.574 優勝なし
 10位 群馬  25勝19敗   率.568 優勝1回

 と、20年間で5度の優勝(上記の他、大阪桐蔭が2008、12、14年)している大阪が唯一の勝率7割台でトップ。2010年代に4度の優勝があり10年単位で分けると、

 2000〜09 15勝10敗 勝率.600 7位
 2010〜19 32勝 7敗 勝率.821 1位

 となり、2010年代は勝率8割超えと夏の甲子園を支配している。2020年代も大阪の進撃が続くのか注目だ。

 2位は優勝3回の東京。2001、11年の日大三、06年の早稲田実が覇者となっているがいずれも西東京代表。西東京は37勝17敗1分、勝率.685、東東京は31勝20敗、勝率.607で西のほうがいいが、東も優勝はしていないが6割超えの勝率を残している。

 3位の神奈川は2015年に東海大相模が優勝。優勝は1回だが同校の他に横浜、桐光学園、桐蔭学園など実力校が多く高い勝率を残している。4位は2県あるがともに優勝はしていないが、勝率は6割を上回っている。青森、宮城の東北勢2県だ。青森は光星学院(現・八戸学院光星)が2011〜12年と2年連続準優勝。西東京の日大三、大阪の大阪桐蔭と勝率1、2位の代表校に敗れ、東北勢の初優勝はならなかった。宮城は2003年にダルビッシュ有(現・パドレス)を擁する東北、2015年に仙台育英が決勝に進んだが、常総学院(茨城)と東海大相模(神奈川)の関東勢に接戦の末、涙をのんだ。


 2004〜05年に連覇を達成し、06年も準優勝だった駒大苫小牧の北海道は23勝38敗1分、勝率.377で40位だ。北海道は代表が南北に分かれているが、北は3勝20敗、勝率.150、南は20勝18敗1分、勝率.526と南は5割を超えている。2016年に北海が準優勝しているので、優勝2、準優勝2なのだが、その他は2009年の札幌第一と14年の東海大四が1勝を挙げているだけだ。

地区別では関東が近畿に肉薄


 ここで春と秋に行われる地区大会で分けた成績も見てみよう。

 1位 近畿  161勝118敗   勝率.577 優勝6回
 2位 関東  240勝178敗1分 勝率.574 優勝8回
 3位 東北  128勝120敗   勝率.516 優勝なし
 4位 四国   79勝 79敗   勝率.500 優勝1回
 5位 九州  133勝159敗1分 勝率.455 優勝2回
 6位 東海   66勝 81敗   勝率.449 優勝1回
 7位 北信越  76勝100敗   勝率.432 優勝なし
 8位 中国   67勝100敗   勝率.401 優勝なし
 9位 北海道  23勝 38敗   勝率.377 優勝2回 

 大阪を擁する近畿がトップだが、関東が肉薄している。近畿は大阪の他は2000年の智弁和歌山(和歌山)が優勝しただけだが、関東は東京と神奈川の4校の他、2003年の常総学院(茨城)、2013年の前橋育英(群馬)、2016年の作新学院(栃木)、2017年の花咲徳栄(埼玉)と7都県のうち5都県が優勝している。そしてここでも東北勢が健闘している。近畿、関東以外で勝ち越しているのは東北だけで、これを10年単位で分けると、

 2000〜09 51勝60敗 勝率.459 7位
 2010〜19 77勝60敗 勝率.562 3位

 と2010年代に飛躍している。というのも秋田は1998年から2010年まで13年連続初戦負けを喫し2000年代は10戦全敗。2010年代に入ると2018年には吉田輝星(現・日本ハム)を擁した金足農が準優勝するなど躍進し10勝10敗の五分だった。2020年代、悲願の東北勢初優勝が成し遂げられるのか。

 野球王国と言われた四国はかろうじて5割の勝率。その昔は「四国四商(センバツも含めて優勝校)」と言われた香川・高松商、徳島商、愛媛・松山商、高知商が甲子園をにぎわしていたが、2000年以降はかなり様相が変わっている。勝率でも6位の高知は明徳義塾、9位の愛媛は2002年に創部した済美が躍進しともに勝率は5割以上。徳島は勝率.474で五分に近いが、香川が6勝20敗、勝率.231で46位と低迷している。ベスト8も2017年の三本松の1回だけ。それでもセンバツでは2016年に古豪・高松商が準優勝。久しぶりに夏の香川勢の活躍を見たいところだ。

 1980年代あたりから「野球留学」、私立の台頭で学校名に地域名が入ってない場合もあり、あまり「地方」を感じられなくなった一面もある高校野球。でも今年は新型コロナ禍でなかなか帰省などができない中、高校野球を観戦して故郷を感じ取ってみてはいかがだろうか。

文=永山智浩 写真=BBM
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