みっちりと研究と対策
夏の甲子園は8月14日に予定されていた第3日が12、13日に続いて中止。第1試合に組まれていた明桜・風間は甲子園球場内の室内練習場で約2時間、調整した
第3日の第1試合に組まれていた明桜(秋田)と帯広農(北北海道)は、8月12日にノーゲーム(4回終了)で、13、14日と3日連続での中止となった。
帯広農はノーゲームとなった12日は0対5と劣勢の展開。明桜の157キロ右腕・
風間球打(3年)に、無安打に抑え込まれていた。この2日間、みっちりと研究と対策を重ねてきた。帯広農・前田康晴監督は言う。
「昨日はヨガ、夜は室内練習場で打撃練習。皆で一緒に何かをやる! ということで、とにかく準備を怠らず、明日は100パーセントやるんだ! と朝から同じルーティンで迎えられたらいいです」
この日は6時30分から約2時間、甲子園球場内の室内練習場での公式練習を終えた後、昼からは打撃練習を行い、以降は休養に充てるという。前田監督は自信をのぞかせる。
「風間君が注目されていますが、好投手はたくさんいる。いろいろなことに対応できるように、いつもどおりの打撃練習をしている」
一方、大量5点のリードをしていながらノーゲームとなった明桜。輿石重弘監督が選手たちに説いた指導は2つあった。
「コントロールできないことを、コントロールしようとするとストレスになる。天候は仕方ないこと。気持ちをつくっていこう、と。『順延の学び』と『順延の感謝』を、自分でまとめていくことが大事です」
「順延の学び」とは、心身を切り替え、現状を分析する「クリアリング」。「順延の感謝」とは、具体的にこう説明する。
「私たちは甲子園で試合をすることを目標にやってきました。(3日順延は)好影響しか考えていません。調整する時間が取れて、甲子園で練習ができる幸せ。何回もここへ来られる感謝の気持ちしか考えていないです」
明桜は4投手が好調
この日、投手陣は室内練習場で約30球の立ち投げに、ランニングで汗を流した。秋田大会は風間に加え、右腕・石田一斗(3年)が交互に先発し、ダブルエースで勝ち上がってきた。風間は2回戦(対能代)を7回無失点で後続に託し、準々決勝(対秋田)は延長10回を投げ切り、決勝(対秋田南)では完封。石田一が先発した3回戦(対秋田工)と準決勝(対横手)は継投だった。
輿石監督は「全員、良いと思います」と、地方大会で投げた4投手の好調ぶりを語っていた。風間は13日の練習後の会見で「少し疲れがあったので正直、今日は順延になってくれてうれしい」と語っていただけに、試合が組まれていた場合は風間の先発を回避していた可能性もある。だが、中2日となれば、良いコンディションで本番を迎えられるはずだ。
風間は12日、初回に計測した149キロが最速だった。大会前から自己最速を1キロ更新する、158キロを目指すことを公言。2001年夏に日南学園・
寺原隼人(元
ソフトバンクほか)がマークした甲子園歴代最速の数字(158キロはプロのスピードガン、球場表示は154キロ。球場表示での最速は07年夏の仙台育英・
佐藤由規と13年夏の済美・
安樂智大の155キロ)に並ぼうと意気込んでいる。12日はマウンドがぬかるんでいた影響で、やや力をセーブしていたという。13日の会見では次回登板での「全力投球」を宣言しており、いよいよ風間が甲子園でベールを脱ぐときがやってくる。
文=岡本朋祐 写真=牛島寿人