週刊ベースボールONLINE

2021夏の甲子園

雨で混乱が続く甲子園「次の機会に備えるという気持ちが大事」【2021夏の甲子園】

 

難しい大会運営が続く


第6日の第1試合[8月19日]、近江[滋賀]-日大東北[福島]は天候不良のため、5回裏の途中[近江が1対0でリード]でノーゲームとなった[写真=牛島寿人]


 天候には、勝てない。もう、祈るしかない。

 夏の甲子園の第6日の第1試合(8月19日)、近江(滋賀)−日大東北(福島)は天候不良のため、ノーゲームとなった。ノーゲームは今大会の1回戦(12日)、明桜(秋田)−帯広農(北北海道)以来、大会史上、20試合目となる。1大会2度のノーゲームは1922年、2009年に次いで3回目である。

 試合は午前7時58分にプレーボール。近江は3回裏、井口遥希(3年)ソロ本塁打で先制する。雨は試合前から振り続け、近江の5回裏二死満塁(1対0)で雨がさらに強まり、9時3分に中断した。

 すでに、今大会は過去最多となる6度の順延。大会本部は新型コロナ禍による、厳重な感染予防対策に加えて、天候とも向き合わなければならない、難しい大会運営が続いている。

中断中、バックネット裏にある控室のガラスは曇り、てるてる坊主が描かれていた。とにかく、天候回復を祈るばかりである[写真=田中慎一郎]


 中断中、バックネット裏の控室のガラスが曇っていた。よく見れば、そこには、てるてる坊主が描かれていた。自然が相手であり、運営サイドも、じっと天候回復を待つしかない。気持ちもよく分かる。

 2時間22分待ったが、その後も雨は弱まらず、11時25分にノーゲームが決定した。この第1試合と、すでに、第2試合に備えて球場入りしていた西日本短大付(福岡)−二松学舎大付(東東京)は翌20日に順延。なお、第3試合の京都国際(京都)−前橋育英(群馬)と第4試合の作新学院(栃木)−高松商(香川)は天候の推移を見極めながら、15時頃の開始を目指していた(11時25分、大会本部発表時点)。

ベンチの頭上にあるシートは、水が溜まっていた。いかに激しい雨であるかが分かる[写真=高原由佳]


 8月17日、甲子園球場内で行われた野球殿入り表彰後の会見でノンフィクション作家・佐山和夫氏(85歳)は新型コロナ禍における大会開催、そして順延が続く中で、高校野球について持論を展開。そして、球児へエールを送っていた。

「もちろん(コロナ禍が)ないほうがいいですが、一つの試練であって、いかに知恵を結集させて乗り越えていくか、試されていると考えてもいい。戦争の時代はもう、野球なんかできないと思っていました。でも今は、雨が止んだら、野球はできるんです。どうぞ、冷静さを保ってください。いたずらに『ダメだ、ダメだ』と騒ぎ立てるのではなく、次の機会に備えるという気持ちが大事。備えてください。またその時は必ず、やってきます」

 自分たちの力でどうにもならないことを考えるのは、ストレスを溜めるだけである。自分たちでコントロールできることに専念する。つまり、何ができるのかと言えば、目の前の体調管理にベストを尽くす。すべての出場校に今、求められていることである。

文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング