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【パ捕手事情】甲斐拓也、森友哉、炭谷銀仁朗…パ・リーグ6球団「扇の要」の現状は?

 

名将・野村克也氏は「優勝チームに名捕手あり」と喝破した。シーズンも終盤戦を迎えるが、パ・リーグ各球団の捕手の現状はどうなっているのだろうか。優勝争い、CS争いも佳境となってくるが、“扇の要”がしっかりしているチームが勝ち抜くことになるのは間違いない。
記録は8月23日現在

福岡ソフトバンクホークス



 攻守に大活躍を見せて金メダルを獲得。名実ともに球界を代表する正捕手となった甲斐拓也の次なるターゲットは、もちろんリーグ連覇だ。東京オリンピックを経て、ひと回りもふた回りも大きくなって帰ってきた。後半戦スタートからチームがゼロ封を続けると、工藤公康監督は「慌てるそぶりもないし、困ったなというそぶりもない。『これでダメなら次はこれで』という感じに見える」とたくましく投手陣を引っ張る姿を高評価。これで打撃さえオリンピック時のような勢いを取り戻せれば、信頼はさらに増していく。また、後半戦はベンチにも頼もしい存在が。39歳のベテラン・高谷裕亮は、積極的なコミュニケーションで後輩たちにワンプレーの意味、野球選手としての考え方を説く一方、試合に向けての準備も欠かすことはない。タイプの違う2人の捕手の良さが光る。

埼玉西武ライオンズ



 94試合中、83試合でスタメンマスクと今季も正捕手としてチームを牽引しているのが森友哉だ。投手を懸命にリードする守備面はもちろん、森の大きな武器となっているのは打力だ。連覇を達成した2019年に打率.329をマークして捕手として史上4人目の首位打者を獲得し、MVPにも輝いた。昨季は.打率.251と数字が上がらなかったが、今季はここまで打率.325と復活。8月17日のロッテ戦(ZOZOマリン)では自身初の1試合5安打を放つなど、前週は6試合で13安打と調子が急上昇。主に三番を打つ打撃と守備、両面でチームの勝利に貢献する。第2捕手には岡田雅利が控えている。

東北楽天ゴールデンイーグルス



 楽天ではこれまで、大卒3年目の太田光がもっとも正捕手に近い存在だったが、シーズン途中に勢力図が一変。7月に巨人から炭谷銀仁朗が移籍してきたからだ。「僕の意思を尊重していただいて移籍になった」と本人が明かしたとおり、出場機会を求めての金銭トレードだった。移籍後は7月6日のオリックス戦(京セラドーム)で初出場を果たすと、ここまで15試合中10試合でスタメンマスク。後半戦の開幕戦となった8月13日の西武戦(メットライフ)では西武時代の同僚・岸孝之とバッテリーを組み、8回一死まで無安打という快投を引き出した。キャリア16年目のベテラン捕手の加入は、捕手陣にとって大きな刺激となっている。

オリックス・バファローズ


オリックス・伏見寅威


 複数捕手を併用する流動的な起用が開幕から続く。宮城大弥山崎福也の両左腕のときは主に伏見寅威がマスクをかぶるのは、カーブを交えた緩急自在の投球を引き出すリードが抜群で、投手タイプも考慮してのこと。今季の先発マスクは47試合とチーム最多と記録する。若月健矢も強肩を武器にした守備力を誇り、先発マスク22試合に加え、試合途中から守備に就くことも。守りだけではなく、打っても3本塁打とバットでも存在感をアピールしている。強打で言えば、頓宮裕真も控えており、指名打者での出場と、厚い捕手層が好調チームを支えている。

千葉ロッテマリーンズ


ロッテ・加藤匠馬


 正捕手・田村龍弘は健在も、今季は4月27日の西武戦(メットライフ)で、二塁から本塁へ生還した走塁で左太腿裏肉離れ。開幕5連敗スタートながら貯金生活に転じていたチームは正捕手を欠いて停滞した。その間、佐藤都志也柿沼友哉江村直也らを併用も、投手陣を含めたディフェンス面が不安定に……。すると、“捕手強化”を図るべく、6月に中日から加藤匠馬をトレードで獲得した。後半戦は加藤の先発マスクも増えており、「加藤バズーカ」とも呼ばれる自慢の強肩も披露。田村も6月末に復帰しており、捕手2人体制で上位を追随していく。

北海道日本ハムファイターズ



 88試合終了時点で清水優心が40試合、石川亮が32試合にスタメンマスクをかぶり、熾烈な正捕手争いを繰り広げている。最多スタメンの清水は、後半戦初白星となった8月22日の楽天戦(札幌ドーム)で上沢直之を好リード、2回には左前適時打を放ちバットでもエースを助けた。「上沢さんが登板している試合でなかなか援護できていないので、1点取れて良かった。何とか最少失点に抑えて試合は作れているのでこれを続ければ勝ちはついてくると思う」と司令塔の自覚も見せる。石川は大胆なリードが持ち味。内角を強気に攻め投手陣を引っ張る姿は頼もしい。ともに高卒でプロ入りし清水が7年目、石川が8年目と、正捕手として独り立ちしたいころだ。

写真=BBM
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