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前年最下位から下克上なるか 巨人に負け越しもヤクルトに「優勝した15年に雰囲気似ている」の声が

 

2年連続最下位からの逆襲



 熾烈な首位争いが続いているセリーグで、大健闘しているのがヤクルトだ。2019、20年と2年連続最下位に低迷し、開幕前の下馬評は低かったが、投打の歯車がかみ合って快進撃を続けている。9月2日現在で47勝37敗12分。8月31日からの巨人3連戦(東京ドーム)で2敗1分に終わったが首位・巨人に2.5ゲーム差の3位と好位置につけている。

「優勝した15年に雰囲気が似ているんですよね。あの年も下馬評は高くなく、シーズン途中まで阪神と巨人の優勝争いが注目されていたのですが、終盤にヤクルトがスルスルっと抜け出して頂点に立ちました。最下位に低迷していた近年は当然重い雰囲気でしたが、今は白星を重ねることで選手たちが自信をつけているように見える。巨人、阪神と比べて爆発力を秘めているのがヤクルトだと思います」(スポーツ紙記者)

 昨季は山田哲人が上半身のコンディション不良で約4年ぶりの登録抹消を経験。中村悠平嶋基宏塩見泰隆と次々に故障で離脱し、開幕投手を務めた石川雅規スアレスも戦列を離れた。選手層が厚いとは言えないだけに主力の故障者が続出すると苦しくなる。今季は目立った故障者が出ていないのが大きい。

 また、課題だった投手陣もハイレベルな競争が繰り広げられることで、先発陣全体が底上げされている。奥川恭伸高橋奎二、新外国人のサイスニードが台頭し、原樹理も8月29日のDeNA戦(東京ドーム)で7回無失点の快投で今季初勝利をマーク。チームの屋台骨を支えてきたエースの小川泰弘、石川雅規も結果を出さなければ、一軍の先発の座は確約されていない。ファームにも田口麗斗、スアレス、高梨裕稔と力のある選手が控えている。

 野球評論家の井端弘和氏は週刊ベースボールのコラムで、「ヤクルトはここまで頑張っていると思います。特に投手陣でしょう。キャンプ時点で、高津臣吾監督は『10点取られたら11点取って勝つ』と明言していましたが、打ち勝つ野球を展開しつつ、投手がある程度抑えていること(※チーム防御率3.71は4位)が今の順位につながっていると思います。とはいえ、打線ですよね。山田哲人、村上宗隆の三、四番、はもちろんですが、その後を打つオスナサンタナの存在です。そして中村悠平を両外国人の間の六番に置いたのも面白い。クリーンアップでチャンスを拡大して、バントもできる勝負強い中村がつないで、もう1人のクリーンアップともいえるサンタナがさらに加点。得点の取り方、流れがとてもいいです」とヤクルトの戦いぶりを高く評価する。

チャンスでもブレーキに


 そして井端氏は6年ぶりの優勝を狙う上でキーマンになる選手ついて、「ここからは山田がカギを握ることになるでしょう。オリンピックでともに戦い、彼のすごさをまざまざと見せつけられました。試合の重要度が増せば増すほど変身するのです。大会前の強化試合とオリンピック本番では明らかにスイングスピードが異なっていました。オリンピック期間中も、局面によってさらにスイングが良くなる。チャンスでの集中力も抜群です。ヤクルトの後半戦は、山田のバットに懸かっていると思います」と分析している。

 ベテランの青木宣親、中堅の山田哲人、若手の村上宗隆と世代を代表するリーダーたちがチームを引っ張り、ベンチは活気であふれている。勢いでもフロックでもない。地に足がついた攻撃的な野球で最下位から頂点に駆け上がる可能性は十分にある。

写真=BBM
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