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背番号物語

【背番号物語】西武「#1」黄金時代の秋山幸二で大ブレークも現役の栗山巧が系譜で圧倒している理由とは?

 

九州から安定感を欠く伝統?


西武で「1」を背負って14年目になる栗山


 今日、2021年9月3日で38歳となった西武の栗山巧。通算2000安打まで残り2本と迫っている栗山だが、誕生日に2000本目を記録すればプロ野球で初めてのことで、この栗山が背負うのが「1」だ。

 栗山は兵庫県の育英高2年生の2000年に春夏連続で甲子園に出場、ドラフト4巡目で02年に西武へ入団。このとき与えられた背番号は「52」だった。プロ4年目の05年には一軍に定着。08年に「1」へと変更すると、主に二番打者として初めて規定打席に到達、167安打で最多安打に輝いた。その後は一番や三番、時には四番にも座って第一線でチームを引っ張り続けて、西武ひと筋を貫いている。近年は「0」や「00」などもあるが、古くから選手を背番号の順に並べれば「1」の選手は筆頭となることもあり、「1」はチームを代表する“顔”といえる選手の背番号。もちろん栗山も、そんな1人だ。それどころか、各チームの歴代に並ぶ選手たちをも代表する「1」だろう。

 ただ、栗山の「1」が西武の“顔”というべき位置づけになったのは、チームが西武となり、現在の埼玉は所沢へ移転してから。西武は2リーグ分立の1950年に参加した西鉄クリッパースが起源で、そのオフに同じ九州は福岡に本拠地を置いていた西日本パイレーツを吸収。ライオンズのニックネームは翌51年からだった。50年の「1」は、西鉄が深見安博、西日本が南村不可止と、ともに好打者だったが、チームがライオンズとなって深見は「5」、南村は巨人へ移籍。ライオンズの初代「1」は50年シーズン途中に毎日(現在のロッテ)から移籍してきていた今久留主淳だ。

ライオンズ初代背番号「1」の今久留主


 51年は正三塁手、そして一番打者として、翌52年は正二塁手として攻守でチームを引っ張った今久留主だが、毎日でプロ入りした時点で、すでに31歳。規定打数に到達したのは52年が最初で最後となる。57年には「40」に。このときも現役を続けていたとする資料もあるが、この57年は一軍の出場はない。この57年に後継者となった内野手の小淵泰輔は60年にサイクル安打を達成も、そのオフに中日へ。小淵とのトレードで来た右腕の大矢根博臣が「1」を継承するも、古巣での活躍には遠く及ばず2年で引退、阪神から来て2年目の伊藤光四郎が63年に後継者となり、65年には正右翼手となるも、70年オフに引退。翌71年はドラフト1位で入団した新人の高橋二三男が「1」となり、いきなり正中堅手としてレギュラーを確保、一番打者として22盗塁も、2年で米マイナーへ転じた。

 チームが太平洋となった73年からビュフォードが3年、アルーが1年。西武の初代は新人で内野手の小川史だったが、その79年シーズン途中に来日したタイロンが新たな「1」となり、小川は「24」に。81年シーズン開幕の直前にタイロンとのトレードで南海(現在のソフトバンク)から来た右腕の名取和彦が閉幕まで着けるもオフには「13」に変更となり、その後は5年間の欠番。“顔”どころか、安定感に欠けた「1」をグッと大きくしたのが、黄金時代の秋山幸二だ。

期間は歴代1位、唯一の西武ひと筋


西武黄金時代に「1」で活躍した秋山


「24」では小川の後継者でもある秋山については過去の記事に詳しい。「1」は秋山を含む大型トレードでダイエー(現在のソフトバンク)から来た佐々木誠が94年に継承、移籍1年目から37盗塁で盗塁王に。佐々木の移籍で99年は助っ人のブロッサーが着けたが、翌2000年にはドラフト1位で入団した外野手の高山久が1年目から「1」を与えられる大抜擢。だが、伸び悩んだまま04年に「44」となり、ロッテから来た助っ人のフェルナンデスが「1」を背負うも、06年には楽天へ。そこから2年の欠番を挟んで後継者となったのが現役の栗山だ。

秋山を含む複数トレードでダイエーから西武に移籍した佐々木も「1」を着けた


 秋山が西武の「1」を背負っていた時期は黄金時代だったということもあり、そのインパクトも確かに大きいが、着けた期間は7年で、西鉄で着けた伊藤の8年に届かず。一方、最近は指名打者としての出場も増えたが、秋山や佐々木から正中堅手の座も受け継いだ栗山は、歴代で初めて10年を超え、この21年で14年目だ。西武ひと筋も歴代で唯一。西武の“顔”である「1」でも筆頭格といえそうだ。

【西武】主な背番号1の選手
今久留主淳(1951〜56)
伊藤光四郎(1963〜70)
秋山幸二(1987〜93)
佐々木誠(1994〜98)
栗山巧(2008〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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