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守護神復帰で反撃態勢が整ったと思われたが…最下位・日本ハムに2敗1分、ソフトバンクはこのまま沈むのか

 

森唯斗の不在で苦戦



 ロッテオリックスが首位争いを繰り広げるが、他球団にも優勝のチャンスはまだまだある。他球団のスコアラーが「選手個々の能力で言えば、間違いなく一番高い。最も怖い球団です」とソフトバンクに警戒を強めていたが……。

 5年連続日本一を目指すチームは投打ともに盤石のはずだった。シーズン前の順位予想では多くの野球評論家が1位に予想。しかし、今年は投打がなかなかかみ合わない。エース・千賀滉大が4月6日の日本ハム戦(札幌ドーム)で6回に渡邉諒の顔面付近を襲った打球を捕球した際、マウンド上で左足をひねった体勢で倒れると立ち上がれず、担架に乗せられて降板。左足首の靱帯損傷で長期離脱したのも痛かった。12球団トップの8度優勝と得意にしていた交流戦でも5勝9敗4分、球団史上最低勝率.357と苦しんだ。

 打線は貧打に苦しむ時期もあり、救援陣もリードを守れず逆転される試合が目立った。ソフトバンクらしくない戦いが続く中、最も痛手だったのが守護神・森唯斗の戦線離脱だった。新人の2014年から7年連続50試合以上登板し、18年に37セーブでタイトルを獲得。尊敬するデニス・サファテに代わる絶対的守護神として、同年から3年連続30セーブ以上と常勝軍団に不可欠な存在だった。ところが今季は左ヒジの痛みが回復せず、5月28日に手術へ。森不在の間に代役の守護神を務めたL.モイネロ岩嵜翔も故障で次々に離脱する。板東湧梧甲斐野央が抜擢されたが救援失敗でなかなか固定できなかった。

 森は18年9月に週刊ベースボールのインタビューで、セットアッパーと守護神の違いについて聞かれ、「全然違いますね。9回は本当に『上がった人にしか分からないところ』だと感じましたし、本当にすごいんですよ! すごい!」と強調した上で、「6、7、8回というのはまだ試合が続くじゃないですか。9回はここで終わらせないといけないというのがあって……。なんて表現したらいいんですかね。本当に上がった人にしか分からないと思いますよ」と明かしている。森より速い速球を投げる投手はソフトバンクの救援陣に多くいる。だが、9回という「特別なマウンド」はそれだけでは抑えられない。制球力、打者心理を読んだ配球術、そして最も大切な強い精神力……ソフトバンクファンにとって、今年ほど抑えの重要性、森のすごさを痛感させられたシーズンはなかっただろう。

内容が悪い戦いが続く


 森は9月8日の西武戦(メットライフ)で約4カ月ぶりとなる一軍復帰登板を果たす。9点リードの9回に登板し、岸潤一郎を一番の武器である143キロのカットボールで中飛に仕留めると、三番・森友哉を三邪飛、最後は中村剛也を145キロの直球で三ゴロと三者凡退の完璧な快投を見せた。

「守護神が固定できず、白星をフイにした試合も少なくなかった。9回に森が入ることで救援陣も役割分担がしっかりして稼働できるようになる。岩嵜翔も一軍に戻ってきた。混戦の中でモノを言うのが経験です。ソフトバンクは勝つポイントを知っている選手が多い。投打がかみ合えば大型連勝で一気に頂点に駆け上がる可能性が十分にあると思います」(スポーツ紙記者)と見られていたが、先週末の最下位・日本ハムとの3連戦(札幌ドーム)では、まさかの2敗1分。しかも初戦は3点リードを終盤に逆転された末での引き分け、2戦目は初回11失点と投手陣が大炎上して大敗、3戦目は3併殺と拙攻に泣く完封負けと内容が悪い。

 9月13日現在、首位・ロッテとは6.5ゲーム差の4位。残り32試合、ソフトバンクはこのまま沈んでしまうのか。

写真=BBM
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