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川口和久WEBコラム

これからのドラフトは育成がメーンになる?/川口和久WEBコラム

 

新人獲得はお金のかかるギャンブル


2020年ドラフト会議の抽選箱


 9月18日のソフトバンク戦(楽天生命パーク)が中止になった際、楽天の石井一久GM兼監督がドラフト候補選手の映像を徹底的にチェックしたらしい。

 GMが兼務というのは大変だな。まだ公式戦が30試合近く残っていて、優勝争いも、まさにこれからが佳境。本音を言えば、戦いに集中したいところだろうからね。

 でも、今年のドラフト会議は10月11日だから、もう3週間を切っている。選手の絞り込みも最終段階に入っていなければ間に合わないのは確かだ。

 今年は高校生、大学生が進路を早めに決められるようにという配慮でドラフトを早め、一方で東京オリンピックがあったことで閉幕が遅くなった。最近は雨で中止も相次いでいるから、ドラフト会議後にもかなりの試合数が残り、最終順位どころか、優勝も決まってないかもしれない。

 さらに言えば、「それより来年も契約してもらえるの?」と内心心配な監督も今年は何人か(も?)いそうだけど、ドラフトの日は、どうするのかね。日本のドラフト会議はくじ引きもイベント化しているから、にぎやかしで登場はしたけど、うまく引き当てながら来季は契約なし、という監督も出てくるかもしれないね。

 でも、あらためて思うが、今後、ドラフトはどうなっていくんだろう。いま1位の契約金が1億円かな。本ドラフトで6人、育成で4人を獲ったとしたら、年俸やら合わせればかなり大きな出費になる。先行投資と言えば、それまでだけど、入ってからまったく活躍できない選手も多いし、活躍したらしたでまた何億も年俸をはらうことになる。

 景気のいい時代ならともかく、今は新型コロナ禍でどの球団もアップアップ。はっきり言えば来年だってコロナはどうなるか分からない。入る金がこれだけ減っているのに、という考えを球団側が持っても不思議じゃない。

 一つ考えられるのは、育成をメーンにしたドラフトだ。ほんとに客を呼べそうなスター選手、確実に1年目から活躍できそうな選手だけを指名し、あとは育成にしてしまう。

 実際、それでプロ野球のレベルが落ちるかと言えば、そんなことはないと思う。

 ソフトバンクで言えば、千賀滉大石川柊太甲斐拓也周東佑京牧原大成リチャードが育成出身。もちろん、ソフトバンクのスカウトの目と育成システムがしっかり出来上がっているからこそだろうけどね。

 選手側にしたら育成がメーンとなると、一部の選手以外、契約金ももらえない可能性があり、給料も安くなる。特に高校生は育成ならプロに行かず、大学や社会人を選択する選手も増えるかもしれない。

 だったら、育成を断った選手は次回のドラフトでは志望球団を明言していいことにしたらどうかな。本指名は今までどおりでいいけど、再び育成に回った場合、希望球団が優先的に獲得してもいい、とね。

 さほど大きな問題は起こらない気がするけど、皆さん、どう思います?

写真=BBM
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