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阪神優勝へのキーマン・高橋遥人に「球界No.1左腕になる可能性秘めている」の声が

 

入団当時から潜在能力は高評価



 熾烈な優勝争いが繰り広げられる中、この左腕が救世主になるかもしれない。阪神の高橋遥人だ。9月25日の巨人戦(東京ドーム)は圧巻だった。2回から4回にかけて6者連続奪三振を含む13奪三振の熱投。9回一死満塁のピンチも丸佳浩を空振り三振、亀井善行を右飛に仕留めて自身初の完封勝利を飾り、マウンド上で笑顔がはじけた。

 他球団のスコアラーはこう分析する。

「高橋遥人はモノが違う。分かっていて打てない直球を投げ込める数少ない快速球投手です。130キロ台のツーシーム、カットボールに加えてカーブ、チェンジアップを有効に使い緩急を駆使するようになった。調子が良いときは大野雄大(中日)のような相手を圧倒するすごみを感じる。球界No.1左腕になる可能性を秘めた投手だと思います」

 新人合同自主トレで高橋の投球を視察した当時の金本知憲監督が絶賛したように、潜在能力の高さは入団当時から高く評価されていた。昨年の開幕前、阪神OBで野球解説者の藪恵壺氏は週刊ベースボールの企画「プロはどう見る?12球団OB&野球解説者たちが選んだ2020“推し”メン!」で、高橋の名前を挙げていた。
 
「沖縄での一軍キャンプ。ブルペンで一番いいボールを投げていたのが高橋遥人でした。もともとリリースポイントが見えにくく、スパッと出てくる投球フォーム。左腕でかつ、投げっぷりの良さが、元エースの井川慶が一軍に出てきたころを思い出させます。真っすぐの質、速さ、スライダーのキレともに井川級の能力の投手なのは間違いないです。今季の開幕投手・西勇輝よりもいいかもしれないですよ。彼を先発2番手に入れたら、連敗はないくらいの投手になっています。昨季は3勝9敗でしたが、1年間先発ローテを経験したことを今季は生かせると思いますので、間違いなく2ケタは勝ちます。阪神はリリーバー陣が強力ですから、7回を目標に投げていき、そこにドロンとしたカーブを覚え、簡単にストライクが取れるようになったら間違いなく今季15勝はする投手です」

 球界を代表する左腕になる才能を持ちながら、結果がついてこない。昨季までのプロ3年間で計10勝のみ。左腕エースとして期待された昨季も12試合登板で5勝4敗、防御率2.49。なかなかブレークできない理由は度重なる故障だった。昨年は左肩の不調で開幕から出遅れ、一軍に復帰したのは8月。今年も対外試合初登板となった2月16日の練習試合・楽天戦後に右ワキ腹の筋挫傷でリハビリ組へ。開幕から首位を快走するチームで戦力になれず、悔しい思いがあっただろう。

2試合連続で相手エースに投げ勝つ


9月25日の巨人戦ではプロ初完封勝利をマーク


 9月に復帰し、9日のヤクルト戦(甲子園)は4回6失点KOで今季初黒星を喫したが、18日の中日戦(甲子園)は大野雄大との投げ合いを制し、7回2安打10奪三振無失点の好投で今季初白星。そして、25日の巨人戦も相手エース・菅野智之との投手戦で根負けせず、2試合連続2ケタ奪三振でチームに白星をもたらした。

 実直な性格の努力家だが、「天然キャラ」としてチーム内では愛されている。プロ初完封勝利を飾った巨人戦ではマウンドの堂々とした姿とは一転、ヒーローインタビューで「なんで最後こうなるのかなと思って投げていたんですけど、最後しっかり締められて、メチャクチャうれしかったです」と緊張の面持ちで言葉を紡いだ。

 エース・西勇輝が今季は本来の投球がなかなかできず、チーム最多タイの10勝と投手陣を牽引していた青柳晃洋も後半戦に入って打ち込まれる試合が見られる。先発陣が苦しい状況で、高橋の存在は心強い。故障で戦線離脱した悔しさを晴らすためにも、左腕を振り続ける。

写真=BBM
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