週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

下位低迷の西武チーム総得点はリーグ4位 「山賊打線」復活のキーマンは

 

辻政権で初のBクラス



 ペナントレースはシーズン終盤に入り、ロッテオリックスが熾烈な首位争いを繰り広げている。その中で2018、19年にリーグ連覇を飾るなど、戦前は「優勝候補」と下馬評が高かった西武が苦しんでいる。夏場以降に強さを発揮するチームカラーだが、今年は7月が3勝7敗、8月が4勝9敗3分、9月が10勝12敗1分と波に乗り切れないまま下降した。10月13日の日本ハム戦(札幌ドーム)に2対10と大敗。クライマックスシリーズ進出の可能性が消滅し、最下位争いの苦境から脱せない。辻発彦監督就任5年目で初のBクラスが確定した。

 チーム防御率3.96はリーグ最下位だが、先発陣は高橋光成が自身最多の11勝をマーク。今井達也松本航は好不調の波が激しいのが課題だが、先発ローテーションに定着しつつある。本格派右腕の渡邉勇太朗も頭角を現し、将来が楽しみだ。リーグ連覇した18、19年が象徴しているように、西武は投手陣が不安でも破壊力抜群の打線が援護射撃して白星を積み重ねるのが近年の戦い方だった。だが、今季は142試合終了時点でリーグ4位の521得点。爆発力が影を潜めている。

 3年前の18年にプロ野球歴代3位の792得点を叩き出した「山賊打線」。投手陣は脆弱だったがプロ野球史上初の最多失点、最低防御率、最多失策でリーグ優勝を飾った。一番・秋山翔吾(現レッズ)、二番・源田壮亮、三番・浅村栄斗(現楽天)、四番・山川穂高、五番・森友哉、六番・外崎修汰、七番・中村剛也、八番・栗山巧、九番・金子侑司と長打力、機動力を兼ね備えた打線は、どこからでも大量得点が取れる迫力があった。同年オフに浅村が楽天にFA移籍したが、破壊力は落ちない。翌19年もリーグトップの756得点でリーグ連覇を達成した。

 今年のタレントが決して大きく見劣りするわけではない。森友哉は球界屈指の強打者に成長し、盗塁王を争う攻守の中心選手・源田壮亮がチャンスメークする。リードオフマン候補として若林楽人岸潤一郎が台頭。今年38歳を迎えた中村剛也は四番に座り、同学年の栗山巧も9月4日の楽天戦(楽天生命パーク)で通算2000安打を達成するなど、まだまだベテランの力は健在だ。

張本氏は70本塁打の期待


 大きな誤算は山川だろう。18年に47本塁打、19年に43本塁打で2年連続タイトルを獲得したが、昨年は右足首を捻挫して強行出場した影響もあり、規定打席到達者中で最下位の打率.205、24本塁打、73打点と不本意な成績に。巻き返しを誓った今季だが、3月30日の日本ハム戦(札幌ドーム)で1号右越えソロを打った際に左ハムストリングスの肉離れで戦線離脱。5月7日に一軍復帰したが、打率は2割1分、2分台を行き来して状態が上がらない。5年連続20本塁打をマークしたが、打順は六、七番と下位を打つことが多かった。本来は不動の四番に座っていなければいけないだけに、本人が最も歯がゆいだろう。

 張本勲氏は今年1月に週刊ベースボールのコラムで、シーズン70本塁打を期待できる選手に言及。「その可能性がある選手に私が挙げたいのは岡本和真(巨人)と山川穂高(西武)だ。今、日本のプロ野球界で50本を打てる選手と言えば、この2人しかいない。岡本は昨年、山川は18、19年と本塁打王のタイトルを獲得しているが、ホームランを打てる選手というのは限られている。打ちたくても打てない選手のほうが圧倒的に多い。この2人は遠くに飛ばす力を持っているから期待したいのだ」と思いを込めている。

 山賊打線は山川の復調なしでは完成しない。10月19日の日本ハム戦(メットライフ)から3試合連続本塁打。シーズンは残り1試合となったが、復活の足掛かりをつかんで今季を終えてほしい。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング