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中日・立浪和義新体制のキーマン 高橋周平は「長距離砲」に戻るべき?

 

高校時代は通算71本塁打


今季は納得いく成績を残せなかった中日・高橋周


 中日はOBの立浪和義氏の来季監督就任が決定した。その中で「打のキーマン」になるのが、高橋周平だ。

 与田剛監督就任3年目の今季は55勝71敗17分で5位に低迷。その要因は深刻な貧打だ。チーム総得点はリーグ断トツ最下位の405得点。チーム防御率3.22はリーグトップだが、得点を取らなければ白星は増えていかない。主力が軒並み打撃不振で精彩を欠く中、高橋周も苦しんだ。開幕から三番に座っていたが、得点力不足のチーム事情もあり五番に。だが、勝負強さが影を潜めて7、8月は月間打率が1割台と試行錯誤を重ねた。クリーンアップを外れるだけでなく、スタメンから外れることも。137試合出場で打率.259、5本塁打、39打点。得点圏打率.190は本人もまったく納得のいく数字ではないだろう。

 もともとは長距離砲だった。東海大甲府高では高校通算71本塁打を放ち、甲子園出場こそなかったが、AAAアジア選手権でMVPを獲得して日本の優勝に貢献した。ドラフトではオリックスヤクルト、中日が1位指名で競合の末、中日に入団。甲子園出場経験のない高校生野手が、1位で3球団競合するのは史上初だった。

 高卒1年目の2012年に41試合出場で2本塁打放ち順風満帆に見えたが、その後は一軍と二軍を行き来してなかなかレギュラーに定着できない。規定打席に初めて到達したのはプロ7年目の18年。128試合出場で打率.254、11本塁打、69打点の成績を残す。ここからアベレージヒッターに変貌する。主将に就任した19年は117試合出場で打率.293、7本塁打、59打点。昨年は108試合出場で打率.305、7本塁打、46打点をマーク。自身初の打率3割を達成し、ゴールデン・グラブ賞を2年連続受賞した。

 ムダを削ぎ落したフォームとコンパクトなスイングで広角に安打を飛ばす。この打撃スタイルについて、高橋は週刊ベースボールのインタビューでこう振り返っている。

「いや、コンパクトにするつもりはないんですけどね。ただ、ドラゴンズのチーム事情がそうさせている部分はあります。広いナゴヤドームで目いっぱい振ったとしても、そうそう確率よくホームランが出るわけではないので。三振してもいいからどんどん行けというなら話は別ですが、チームに何が求められるかと考えると、やはりヒットで出塁すること。特にこれまでは結果が出ないと試合にも出られない状況でしたから。1日1本。その延長で長打。その意識は今も変わりません」

 ただアベレージヒッターに特化するつもりはない。昨オフはパワーアップを図り、本塁打量産が期待されたがその目論見は叶わず、打率も大きく下がった。

立浪監督の打撃スタイル


現役時代の立浪監督のバッティング


 他球団のスコアラーはこう分析する。

「高橋周は飛距離で言えば中日の中でもトップクラスだと思います。今年は得点力不足の責任感を感じていたのか、走者を進めようとスイングが小さくなった印象があった。ミート能力は高いので当てにいかず、ガンガン振られた方が怖いです。ナゴヤドームは広いので本塁打はなかなか増えないかもしれませんが、右中間や左中間を射抜く二塁打を量産できる力は持っている。監督に就任する立浪さんの打撃スタイルは良きお手本になるのではないでしょうか」

 立浪氏は身長173センチとプロの中では小柄な部類だったが、パンチ力があった。現役時代に樹立した487二塁打はNPB歴代最多記録だ。豪快な打撃を再び――。上位浮上へ、高橋周の復活は不可欠だ。

写真=BBM
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