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現役引退の巨人・亀井が「天才」と名指しした松原聖弥 来季は丸佳浩と中堅の定位置争いか

 

巨人育成出身初の規定打席クリア



 今季限りでの現役引退を発表した巨人・亀井善行。10月23日のヤクルト戦(東京ドーム)後のセレモニーでスピーチした際、「聖弥、あんたは天才だから。もうちょっとだけ頭使っていけよ」と名指しでゲキを飛ばした。同じ外野でプレーしてきた亀井は後輩のプレースタイルを知り尽くしている。叱咤激励は期待の表れ。巨人・松原聖弥は今年以上に来年が重要なシーズンとなる。

「天才」は野球エリートではない。名門・仙台育英高で3年夏はベンチ入りできず、1学年下の上林誠知(現ソフトバンク)が活躍する姿をアルプススタンドから太鼓係で応援した。明星大で内野から外野に守備位置を変え、2年春から5季連続ベストナインを獲得。この活躍がスカウトの興味を引き、育成5巡目で巨人に入団した。無名の存在だったがミート能力、バットコントロール、外野守備で落下点に入る速さ……その野球センスはすぐに首脳陣の目に留まった。18年にはイースタン新記録の133安打をマーク。支配下昇格も勝ち取った。昨年は86試合出場で打率.263、3本塁打、19打点、12盗塁と一軍定着した。

 松原に「安息」の二文字はない。巨人は毎年のように戦力補強を敢行する。昨オフに同じ外野手の梶谷隆幸DeNAからFA移籍し、新外国人のテームズも加入。競争が激化し、状態が悪ければスタメンを外される。だが、この危機感を力にした。今季は丸佳浩が戦線離脱した4月に「一番・中堅」で打線を牽引。丸が復帰後はベンチスタートになったが、5月下旬に梶谷が負傷で離脱すると右翼でスタメンの出場機会が増える。丸が打撃不振でファーム降格すると、再び中堅に。後半戦は「一番・右翼」を勝ち取り、巨人の育成出身選手として初の規定打席をクリアした。

 打率.274、12本塁打、37打点、15盗塁はいずれも自己最高の成績だが、持っている能力からすればまだまだ満足できる数字ではない。松原にレベルアップが求められるのは、チームのプラスアルファになるプレーを増やすことだろう。今季はチャンスで犠打失敗、進塁打が打てない場面が見られた。外野の守備でもダイビングキャッチして後逸したことで失点につながったケースが。走塁も15盗塁しているが、失敗が7つで盗塁成功率68.2%は決して高い数字ではない。チームが勝つために何をするべきか――。頭脳をフル回転することで身体能力の高さがもっと生きる。亀井の言葉には重みがある。

激しいレギュラー争いで


「丸が打撃不振、梶谷が故障で離脱する中、松原はよく頑張ったと思います。ただ、シーズンをフルで戦ったのは今年1年だけ。レギュラーのポジションを勝ち取ったとまでは言えない。また来年は外国人の外野手を補強する可能性があるし、梶谷も戻ってくる。競争が激化するでしょう。松原は右翼で出場機会が多かったですが、俊足を生かした広い守備範囲を考えるとしっくりくるのが中堅です。来年は中堅の丸からレギュラーを奪うぐらいのつもりでやってほしいですね」(スポーツ紙デスク)

 他球団の主力が毎年のように加入する巨人でレギュラーを獲るのは至難の業だ。だが、生え抜きが育たなければチームは長期的に強くならない。亀井の「金言」を胸に松原のさらなる飛躍を期待したい。

写真=BBM
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