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栗林良吏、牧秀悟、中野拓夢…セ・リーグの新人王は誰が最もふさわしい?

 

 セリーグの新人王争いは近年まれに見るハイレベルな争いになった。阪神のドラフト1位・佐藤輝明は新人の日本人左打者で最多の24本塁打をマーク。同じく阪神のドラフト2位・伊藤将司も2ケタ勝利に到達し、球団新人左腕では67年の江夏豊以来2人目の快挙を達成した。ヤクルトの高卒2年目右腕・奥川恭伸は9勝を挙げ、15年以来6年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献。本来なら上記の3人が新人王に選ばれてもおかしくない成績なのだが、今季は広島のドラフト1位・栗林良吏が絶対的守護神として37セーブをマーク。DeNAのドラフト2位・牧秀悟は史上4人目の新人で打率3割&20本塁打をクリアした。さらに、阪神のドラフト6位・中野拓夢は盗塁王を獲得する活躍で攻守に躍動。この3人の中から新人王が選出される公算が高い。最もふさわしい選手は誰だろうか。

抜群の安定感を誇った守護神


広島・栗林良吏


・栗原良吏(広島)
※今季成績 53試合登板、0勝1敗37セーブ、防御率0.86

 プロ1年目に守護神に抜擢された右腕は、驚異的な安定感で最後まで走り抜けた。開幕から22試合連続無失点の球団新記録を達成。8月の東京五輪でも侍ジャパンの守護神を務め、全5試合登板で2勝0敗3セーブ、防御率1.40と金メダル獲得に大きく貢献した。真上から投げ下ろすフォームでスピンの効いた直球は球速以上の体感速度を感じるため、高めにホップするボール球も打者が手を出して空振りする。直球と同じ軌道から投げ込まれるウイニングショットのフォークも効果絶大で、走者を出しても強心臓で内角を果敢に突くなど動じない。37セーブは15年のDeNA・山崎康晃と並ぶ新人最多タイ記録。7月14日の中日戦(マツダ広島)から20試合連続セーブは09年の中日・岩瀬仁紀と共に歴代2位と快挙を次々に打ち立てた。

史上4人目の新人3割&20本塁打


DeNA・牧秀悟


・牧秀悟(DeNA)
※今季成績 打率.314、22本塁打、71打点、2盗塁

 最下位に低迷したチームで期待以上の大活躍を見せたのが牧だ。コンタクト率が高く、広角に長打を飛ばす。勝負強い打撃で、10月上旬以降は故障で戦線離脱したオースティンに代わり、四番を務めてさらに輝きが増した。同月23日の中日戦(横浜)から5打席連続二塁打の日本新記録を樹立。35二塁打は長嶋茂雄(現巨人終身名誉監督)を超えてリーグ新人最多記録だ。10月は月間打率.452、1本塁打、6打点と最後まで打ち続けた。新人で3割&20本塁打を記録したのは史上4人目で、打率.314は新人の打率で歴代3位タイ。開幕から約3週間は本職の二塁ではなく、チーム事情で高校以来の一塁を守っていた。不慣れなポジションでもきっちり結果を出し、二塁の定位置をつかんだことでさらに数字の価値が増す。

史上4人目の新人で盗塁王


阪神・中野拓夢


・中野拓夢(阪神)
※今季成績 打率.273、1本塁打、36打点、30盗塁

 数字だけを見れば、栗林と牧に見劣りするがチームへの貢献度は負けていない。熾烈な優勝争いを繰り広げた阪神に不可欠な存在になったのが中野だ。ドラフト6位で入団と注目度は高くなかったが、パンチ力のある打撃と俊足を生かした広い守備範囲で開幕一軍入りを果たすと、4月中旬に木浪聖也から遊撃のレギュラーを奪う。技術だけではない。身長171センチと決して恵まれた体格ではないが、心身共にタフで最後まで高水準のパフォーマンスを発揮した。守備で負担のかかる遊撃でリーグワーストの17失策を喫したのは課題がだが、球際に強くまだまだ伸びしろがある。盗塁数は2位のチームメート・近本光司に6差をつける30をマークし、史上4人目の新人で盗塁王を獲得。盗塁成功率93.8%とチャンスメーカーとして申し分ない働きだった。

写真=BBM
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