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佐々木麟太郎が初の全国舞台で実力を発揮できた要因は? 絶大だった先輩・大谷翔平の存在

 

前評判どおりの活躍


花巻東高の1年生・佐々木麟太郎は明治神宮大会3試合で、10打数6安打、2本塁打、9打点と大暴れ。下級生ながら気迫を前面に出したプレーで、チームをけん引している


 エンゼルス・大谷翔平が11月18日(日本時間19日)、ア・リーグのMVPを満票で受賞。翌20日に明治神宮大会が開幕した。大谷の出身校である初出場・花巻東高(岩手)は1回戦から2試合を勝ち上がって4強進出。広陵高(広島)との準決勝(11月23日)で敗退(9対10)したものの、持ち味の全員野球と粘りを発揮した。

 注目の1年生スラッガー・佐々木麟太郎は8回表に同点3ランを放った。チームはその裏に勝ち越しを許して惜敗。佐々木は異例のハイペースである高校通算49号。今大会は3試合で10打数6安打、2本塁打、9打点と前評判どおりの活躍を見せ「大事な場面で、チームの三番として責任を果たせたことは、一番の大きな収穫」と手応えを語った。

 自身初の全国舞台で実力を発揮できた要因は何か。先輩・大谷の存在が絶大だったという。

「花巻東を卒業して、世界のトップレベルで活躍している大谷選手のMVPは、チームとしても力、励みになっています。自分たちも負けられない」

 佐々木の父で、大谷の恩師でもある花巻東高・佐々木洋監督も「大谷効果」を認める。

「正直、(選手たちには)プレッシャーはまったくなく、勢いがついた。彼の受賞で、後輩たちには、エネルギーにしかならなかったと思います。世界でトップになった先輩が、同じユニフォームを着て頑張ったんだから、大谷先輩の活躍に負けないように頑張らないとダメなんだぞ、と言いました」

広陵高との準決勝(11月23日)では同点3ラン。183センチ117キロの体格を生かした、パワーあふれるスイングが持ち味である


 大谷は高校2年夏、3年春の甲子園に出場したものの、頂点に立つことはできなかった。同校野球部のモットーは「岩手から日本一」。花巻東高は今秋の東北大会優勝により、来春のセンバツ出場が確実視されている。

 佐々木監督の長男・佐々木には下級生とは思えないほどの「覚悟」と「責任感」がある。広陵高との準決勝では第2打席で左足くるぶし付近に死球を受けたが、ベンチに下がることはなかった。

「チームが勝つためには、自分が出ないといけないと思った。痛みはあったんですが、こらえながら、気持ちでそこは戻りました」

 不屈の精神力。佐々木はあらためて言った。

「花巻東として、全国大会で勝ち上がっていきたい」

 この冬のテーマは「スイング力アップ」と「変化球への対応」。大谷が成し遂げられなかった東北勢悲願の甲子園優勝を目標に、佐々木は岩手に戻って、バットを振り続ける。

写真=川口洋邦
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