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社会人野球ファンを魅了したスピーディーなプレー。NTT東日本・向山基生が飛躍した理由は?

 

22年はプロへのラストチャンス


NTT東日本・向山基生は2021年社会人野球表彰でベストナイン[外野手部門]、最多本塁打賞、最多打点賞を受賞した


 打撃部門のタイトルをほぼ独占である。NTT東日本の入社3年目・向山基生(法大)は2021年、圧倒的な成績を残した。

 公式戦20試合で打率.321、6本塁打、20打点。社会人日本選手権、都市対抗と社会人二大大会でともに4強進出に貢献した。満場一致でベストナインに初選出されると、個人タイトルにおいても、最多本塁打賞、最多打点賞を受賞している(安打数も25本でトップ)。

 飛躍した理由は?

 法政二高(神奈川)を経て、法大では主将を務め、4年時にはプロ志望届を提出も、指名漏れに終わった。NTT東日本では1年目からレギュラー。大卒2年目の20年、ドラフトを待ったが、名前を呼ばれることはなかった。

 50メートル走6秒0。遠投110メートル。向山と言えば、攻守走3拍子そろったプレースタイルが持ち味だ。総合力の高さが武器である一方で、すべてが平均点。向山は「何か飛び抜けたものをつくり上げるするために、長打を打つ練習を繰り返してきました。21年はその成果が出たと思います」と語った。

 選考委員が評価した外野守備と走塁も見逃せない。あえて、浅い守備位置でポジションを取り、抜群の脚力と反応で捕球する。守りで幾度もチームのピンチを救った。また、チームとして強化している走塁への意欲により、シーズン5盗塁と、スピーディーあふれるプレースタイルで社会人野球ファンを魅了した。

 右の強打者は、22年7月で26歳となる。ドラフト指名は難しい年齢に差し掛かっているが、あきらめる必要はない。21年のように他を圧倒する数字を残せば、右の大砲として、NPB球団も年齢を度外視で動くはず。20年のドラフトでは日本生命・阿部翔太が27歳でオリックスから6位指名されたケースもある。

 大卒入社4年目の22年は事実上、プロ入りへのラストチャンスかもしれない。向山にはまだ、可能性が残されている。21年、まずは、あと一歩で届かなった社会人の頂点を狙う。

文=岡本朋祐 写真=榎本郁也
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