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ロッテ全球団社員共通の思い──『ブランドブック』で夢紡ぐ【1】

 

今年8月に球団社員のほか、監督、コーチ、選手に配布されたブランドブック


 束になって戦う──。チームスポーツの醍醐味は、この言葉に集約されている。各自が役割を全うし、結束して『勝利』という一つの目標に向かう姿に胸を打たれるからこそ、観る者は熱くなり、魅了させられ、声援を送り続けていく。その思いに応えるべく選手はさらに奮闘する。

 こうした構図はスポーツに限ったことではない。地域の町内会や学校、そして会社もそうだ。人と人が手を取り合う中で、何より大事になるのが目標の共通認識だ。チームスポーツで言えば、試合の勝利であり、長いペナントレースを戦うプロ野球チームで言えば『優勝』の二文字。そんな勝利、そして優勝を目指しているのは何もグラウンドでプレーする選手だけではない。

 思いを全面に押し出し、球団内に広く浸透させているのが千葉ロッテマリーンズだ。まずは今年3月に球団理念を発表。全社員で考案された理念は、大きく分けて下記の3つ。

『勝利への挑戦』
『勝利の熱狂』
『勝利の結束』

 共通するのは、やはり勝利の二文字。河合克美オーナー代行兼球団社長が説明する。

「よくよく考えれば、私たちは野球というコンテンツの興業なんです。興業ビジネスは、スポーツ以外もあり、例えば宝塚歌劇団や歌舞伎などの演劇のチケットは、野球よりも値段が高い。でも、皆さん見に行かれるのは演目そのものに価値があるから。球団に置き換えれば演目は試合です。その価値を上げることこそが、球団がやるべきことなんです」

 勝利を目指して結束して挑戦し、そしてファンを熱狂させていく。スポーツビジネスの根幹をはっきりとさせた。だから、球団に携わるすべての人が目指すのは、勝利にほかならない。

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 とはいえ、実際にユニフォームを着て直接試合に携わる人ばかりではく、ひと口に球団と言っても役割は多岐にわたる。監督、コーチ、選手のほか、バッティング投手やブルペン捕手らの裏方スタッフ、さらにはマーケティングや営業、運営などあるが、就く職務はそれぞれだが、“何のため”の仕事を明確化させることが何よりの目的だ。

 さらに浸透させるべく、今年8月に生まれたのが『ブランドブック』だ。球団で働く人の思いが込められた一冊を全社員に加えて一、二軍の監督、コーチ、そして選手に配布。そこに記された思いが結束を強くする。

 例えば、2009年にドラフト3位で入団し、15年に引退して現在はマーケティング戦略本部ブランド統括部ファンサービスグループに所属している上野大樹氏は、記している。

「選手を辞めて球団職員になって、働く側のこと、応援する側のこと、初めてしることばかりでした。選手のときにしっていたら、もっといろんなものを背負って野球ができるのかもしれないと思うし、知ることができたから今の仕事のやりがいになっています。イベントを考えるときも、一生に一度の思い出になってほしいと思って仕事をしています」

“元選手”ばかりではなく、多くの思いが紡がれる。異なる役職の別の声に耳をかたけると──。

※25日公開の【2】に続く
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