先を見据えての取り組みも
日体大・矢澤は桜美林大1回戦で先発して5回無失点。三番で出場したバットでは、4安打3打点と大暴れした
【4月2日】1回戦
日体大11−0桜美林大(7回
コールド)
首都大学春季リーグ戦が4月2日、バッティングパレス相石スタジアムひらつかで開幕した。日体大・
矢澤宏太(4年・藤嶺藤沢高)が桜美林大1回戦で「三番・投手」として先発。投打の「リアル二刀流」として躍動し、11対0の7回コールド勝利に貢献している。
最初の見せ場は1回表。「1打席目でタイムリーを打てたのが一番良かった」と、一死三塁のチャンスから一塁手の左を鋭く抜けるヒットを放ち、自らのバットで先制点をたたき出した。その後も矢澤のバットは止まらない。2回表の第2打席は無死二、三塁から前進守備のセカンドの左を抜く2点適時打。第3打席は二遊間をしぶとく破り、第4打席はアウトハイの真っすぐを流して左前打となり、4打数4安打3打点。シーズン前から今季は「首位打者を獲りたい」と目標を掲げており「この冬はティーバッティングやロングティーで一球一球、引っ掛けないように丁寧に打ってきました。そして、打率を残すために逆方向を意識していたのですが、大振りせずにコンタクトできましたし、特に最終打席は良い内容だったと思います」と振り返った。
矢澤を指導する日体大・古城隆利監督も、第4打席を成長の証し、ととらえており「リーグ戦が始まる少し前に、一発狙いからコースに逆らわないバッティングができるようになってきました」と評価した。
一方で「最優秀投手が目標」という投球については「まだまだ。これから調子を上げていきたい」と振り返るも、球速は自己最速に並ぶ150キロを2度も計測。相手打者のバットをへし折るシーンも2度、見られた。冬場は「キャッチボールでは少し離れた距離から伸びを意識して投げたり、ブルペンでは60球全球をストレートで投げたりしました」と、さらにストレートに磨きをかけてきたという。
また、この試合では得意のスライダーやチェンジアップのほか、「この先のために」と現在、習得中というフォークも1球だけではあるが披露した。チームの大量リードもあって、5回を投げ切ったところで降板したが、今季初登板は6奪三振と上出来だったと言える。
この開幕戦には11球団27人NPBスカウトや20人以上の報道陣が詰めかけたが、矢澤は「こうやって注目していただけるのはありがたい」とモチベーションにしている。
今後も投手、打者を継続していくつもりだ。「幼いころから、二刀流で野球をするのが自分のスタイル。普段の練習から強度を高めて疲労が溜まらないような体づくりをしてきています」と話しており、ドラフト戦線においても、ますます目が離せない存在となる。
取材・文=大平明 写真=BBM