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首都大学リポート

連敗止める好投の帝京大エース左腕・鈴木翔也。目標は同じ左腕の元巨人ほか・杉内俊哉/首都大学リポート

 

「力まず、楽に投げられた」


帝京大の左腕・鈴木は武蔵大2回戦を6回2失点。今季のチーム初勝利に貢献した


【4月16日】2回戦(1勝1敗)
帝京大6−2武蔵大

 今春は開幕から3連敗と苦しいスタートになった帝京大。唐澤良一監督も「内容が悪すぎる。野球以前の問題」と厳しい言葉を並べていたが、そんななかで連敗ストップの使命を託され、武蔵大2回戦の先発マウンドに上がったのがエース左腕・鈴木翔也(4年・横浜隼人高)だった。

 昨秋はリーグ3位の防御率1.20を記録した鈴木。この冬のシーズンオフはさらなる成長を目指し、瞬発力を鍛えるトレーニングに励んできた。

「高さを段々と高くしていってボックスジャンプをしたり、50メートルくらいの距離に高さの違うハードルをランダムに並べてジャンプをしたりしてきました。そのおかげで昨年より長いイニングを投げられるようになったと思います」

 真っすぐの最速は137キロだが「ストレートがあってこその変化球なので、いかに速く見せるかを工夫してきましたし、スピードはなくても回転数を上げるように練習してきました」。目標にしてきたのは、同じサウスポーの杉内俊哉(元巨人ほか)だ。

「杉内投手のように、ゆったりとしたフォームから上半身の力を抜いて投げるようにしているのですが、そうしたら回転数も上がっていったんです」

 こうして迎えた武蔵大2回戦。「プレッシャーはありましたが、何とか連敗しているチームの雰囲気を変えたいと思っていました」と強い決意を持っていた鈴木。立ち上がりはピリッとせず、2回までに2点を失ったが、3回以降は粘った。

「この1週間はルーティンを変えてピッチングの球数を増やしてきましたし、下半身の動作や体重移動の動作をあらためて確認してきました」

 その成果もあって「力まず、楽に投げられました」と要所を締めるピッチング。1点リードの5回裏には無死満塁のピンチを招くも「昨年から投げ始めたのですが、芯を外すことができるので自信を持って投げています」というツーシームで三振を奪うと、次打者はアウトコースの真っすぐが決まった。

 さらに次打者は再びツーシームで3者連続の空振り三振。「満塁から1人目の打者は三振を狙っていきましたが、その後の2人は打たせて取るつもりだったのが結果として三振になりました。ピンチになって、正直『まずいな』と思ったんですけれど、ゼロに抑えることができてうれしかったです」

 結局、6回5安打2失点。7奪三振で勝利投手となり「1勝できて良かった」と満面の笑顔を見せた。

 卒業後は社会人チームで野球を続けることが内定しているというが「4年なので悔いなく、楽しく終われたら。そのためにも勝利を重ねていきたいです」と鈴木。高校同級生で、亜大のエースとして東都大学リーグで活躍する右腕・青山美夏人の存在も刺激になっている。まずは、大学ラストイヤーに全力投球する。

取材・文=大平明 写真=BBM
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