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首都大学リポート

Bチームからチャンスをつかんだ筑波大・小田切大也。学業が野球に直結、ドラフト候補から安打もマーク/首都大学リポート

 

「毎日が充実しています」


筑波大・小田切はチームのアクシデントの中で、奮闘を続けている


【4月23日】1回戦(日体大1勝)
日体大2−1筑波大

 筑波大は野球部員が生活する寮で、コロナ陽性者が確認された。寮生が濃厚接触者となり、主力のほとんどが第3週のリーグ戦に出場することができず、寮外の選手のみで戦った。

 第4週は症状がなく大学が許可を出した選手から順次、出場を果たしている。このアクシデントによりチャンスをつかんだのは、小田切大也(2年・会津高)だ。

 会津高(福島)では県16強が最高成績。3年夏も4回戦で聖光学院高に敗れ、甲子園とは縁がなかった。「スポーツの最先端の研究ができ、川村卓先生(監督)もいる筑波大で野球がやりたいと思いました」と最長で1日12時間の受験勉強を行い、一浪の末に筑波大に入学した。

「学業との両立は大変ですが、興味のあることを学んでいるわけですし、川村監督の野球の講義では『バッティングの良い選手はどのように体を動かしているのか』などについて勉強しています。また、川村監督のおかげで、不調のときに試すことの引き出しがとても増えたと感じています」

 まさに学業が野球に直結している面もあり、「毎日が充実しています」と話す。

 全国から有力選手が集まる首都大学リーグで結果を残すのは大変である。入学した昨年は「大学のレベルに対応できていませんでした」と、リーグ戦でベンチ入りすることもできなかった。課題はバットを振る力にあったという。そこで、冬場は「強いスイングを心掛けながらティーバッティングで数をこなしてきました」と振り返る。

 チャンスは突然に訪れた。コロナ禍に見舞われたことで、普段はBチームとして活動している選手がリーグ戦に出場することに。小田切は六番・遊撃で先発し「自分たちに失うものはない。挑戦者として向かっていくだけ」という言葉を胸に東海大2回戦に臨んだ。

 5回表の第2打席でインハイに入ってきたカーブを、初球からフルスイング。打球はレフト線へのツーベースとなり初安打を記録した。続く第3打席でも右前打を放ち「川村監督から『攻めたプレーを』とよく言われているのですが、積極的な気持ちで打席に入ることができました」とリーグデビュー戦で2安打という最高のスタートを切った。

シーズン通して結果を残すことが目標


 続く第4週の日体大1回戦(4月23日)でも「バッティングに期待しています」という川村監督の言葉のとおりに八番で先発。守備は「内野ならどこでも守れる」とのことで、この試合は三塁を任せられた。すると、第1打席では日体大の先発左腕・矢澤宏太(4年・藤嶺藤沢高)に対し「初球からストレートに反応できた」とライト前へ。ドラフト候補から安打を放った。しかし、その後は「低めは手を出さないようにしていたのですが、スライダーが切れていました」と2三振。1対2で惜敗した試合後、前向きにとらえている。

「大学トップレベルを見ることができたので、今後、練習をしていくうえで生きてくると思います」

 今後の目標は「シーズンを通し、継続して結果を残すこと」と語る。「今日の試合でも、チームとして徹底してきたバントを失敗してしまいましたし、終盤は交代させられてしまいました。そういったことがないように勝負どころで詰めの甘さをなくしていきたいです」と語った。Bチームからチャンスをつかみ、Aチームの座を手にした小田切。これからも激しいレギュラー争いが繰り広げられることになるが、この機会を絶対に逃さない。練習はウソをつかないことを、体現し続ける。

取材・文=大平明 写真=BBM
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