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巨人・坂本勇人が故障で戦線離脱…「遊撃の定位置」つかむ若手は?

 

 首位を走っている巨人だが、懸念事項は戦線離脱した坂本勇人をカバーする選手だ。坂本は4月30日の阪神戦(東京ドーム)で守備の際に負傷し、5月1日に「右ヒザ内側側副靱帯損傷」で登録抹消された。今季は「左内腹斜筋筋損傷」で開幕一軍メンバーから外れたが、開幕3戦目の中日戦(東京ドーム)で復帰するといきなり4打数4安打の大活躍。その後も勝負強い一打で首位を快走するチームを牽引した。主将の戦線離脱は痛手だが、遊撃で出場機会が増える若手たちはアピールする絶好のチャンスだ。

開幕戦では「二番・遊撃」


開幕一軍から外れた坂本に代わり、開幕戦でスタメン出場を果たした廣岡


廣岡大志

 坂本が離脱し、遊撃のスタメンで起用されているのが廣岡だ。本拠地・東京ドームで開幕した3月25日の中日戦では、坂本の代役として「二番・遊撃」で起用され、1点差を追う5回二死三塁で左中間フェンスに直撃する同点適時二塁打。三番のグレゴリー・ポランコの右前適時打で俊足を飛ばして逆転の本塁生還と白星に大きく貢献した。ただ、まだまだ攻守で精度を上げなければいけない。今月3日の広島戦(マツダ広島)では初回一死二塁のピンチで、西川龍馬の打球をファンブルする失策で一挙6失点のきっかけを作ってしまった。

 2016年にドラフト2位でヤクルトに入団し、19年に10本塁打をマークしたが、確実性が課題で遊撃のレギュラーをつかめなかった。それでも、昨年3月に田口麗斗との電撃トレードで巨人に移籍したことが期待の高さを物語っている。移籍1年目の昨季は78試合出場で打率.189、5本塁打、15打点。当然納得できる数字ではない。今季はボール球を見極められるようになり、コンタクト率が上がっている。途中出場した4日の広島戦(マツダ広島)で、8回に右中間へ2点適時三塁打を放った。「坂本の代役」ではなく、遊撃の定位置をつめるか。

あこがれの存在は坂本


18年にドラフト8位で巨人に入団し、今季で5年目を迎えた湯浅


湯浅大

 攻守走の精度を高め、遊撃のレギュラー定着を狙うのが湯浅だ。遊撃の堅守と俊足に定評があり、2020年にイースタン・リーグで22盗塁をマークしてタイトルを獲得。打撃も実戦向きできっちり結果を出している。昨季も一軍33試合出場で13打数5安打、打率.385をマーク。大卒1年目で活躍している大勢赤星優志は同学年で、高卒5年目の湯浅にも意地があるだろう。20年から3年連続で自主トレを行っている坂本には特別な思いがある。

 湯浅は20年3月に週刊ベースボールの「あこがれの存在」というテーマで坂本の名を挙げ、「今年は初めて合同自主トレにも連れて行っていただきました。最初は緊張し過ぎて、ガチガチでした。でも、『分からないことがあったら聞けよ』と、何でも答えてくださって、ちょっとしたことでも笑ってくれるので、すごく優しいなと感じました。野球のいろいろなことを考えていて、練習量も多いし、さらに尊敬の気持ちがふくらみました。今も変わらず、あこがれの存在です」と語っている。「師匠」の座を脅かす活躍を見せられるか。

昨季は二軍で規定未達も打率3割


高い打撃センスを誇る高卒2年目の中山


中山礼都

 坂本が遊撃のレギュラーをつかんだのは、二岡智宏が故障で戦線離脱した高卒2年目だった。そう考えると、「ポスト坂本勇人」と評される高卒2年目の中山もレギュラー獲りは決して早いタイミングではない。

 天才的なバットコントロールで広角に打ち分ける打撃センスは目を見張るものがある。中京大中京高では1年秋から遊撃手のレギュラーをつかみ、2年秋から県大会、東海大会、明治神宮大会で優勝。今夏の愛知県高野連主催の独自大会も制し、甲子園交流試合を含めて公式戦負けなしの28連勝と、エース・高橋宏斗(現中日)と共にチームを牽引した。新人の昨季はファームで規定打席未達だったが打率.309をマーク。現状に満足せず、上を目指し続ける姿勢もプロ向きだ。年末年始も無休でトレーニングに打ち込み、今年2月の春季キャンプでは一軍メンバーに抜擢された。オープン戦で16打数2安打、打率.125と結果を残せなかったが、今後の成長への大きな糧になっただろう。坂本の戦線離脱を受け、今月1日に一軍初昇格した。未来を切り拓くために、チャンスをモノにしたい。

写真=BBM
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