週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

吉川尚輝復帰まで頭を悩ませる巨人…セ・リーグ6球団「二塁手事情」は?

 

サインプレーや中継プレーに絡む機会が多く、打球に対しての瞬時の対応など身体能力の高さだけでなく、判断力が求められる。内野守備で「最も技術が必要」とされているポジションが二塁手だが各球団、しっかり機能しているのか。セ・リーグ6球団の「二塁手事情」を見ていく。
記録は5月13日現在

読売ジャイアンツ



 不動のショートでありキャプテンの坂本勇人に続き、一番・二塁でチームをけん引していた吉川尚輝も5月4日の広島戦(マツダ広島)で左肩甲骨付近に死球を受けて骨挫傷で離脱。チームの二遊間はスクランブルに陥った。坂本の代役は廣岡大志湯浅大、吉川の二塁は高卒2年目の中山礼都を抜てきし、その後は二塁・廣岡、遊撃・中山と入れ替えるなど手探りの起用が続いているが、攻守とも安定感には欠けている。吉川は広大なカバーエリアを誇る二塁守備に加え、離脱時点で打率.341とリードオフマンとしても抜群の働きを見せていただけに、その穴を埋めるのは簡単ではない。復帰までをどうしのいでいくのか。ベンチは頭を悩ませる日々を送っている。

東京ヤクルトスワローズ



 三番・二塁として開幕から全試合で先発出場中の山田哲人。昨季、わずか4個だった盗塁はすでに6個を記録し、ここまで体のコンディション状態は良好だ。守りでもポジショニングのうまさ、球際の強さを存分に発揮しており、初のゴールデン・グラブ賞獲得にも期待がかかる。打撃ではリーグ4位の得点圏打率.355をマークしているものの、打率.264は物足りない。五番・サンタナが長期離脱し、四番・村上宗隆のマークが厳しくなる中、得点力を上げるには山田の活躍がカギを握る。

広島東洋カープ


広島・菊池涼介


 さすが不動のレギュラー・菊池涼介だ。正二塁手として、若い選手たちに付け入るスキを与えない。今季もすでに神業過ぎる守備で何度もチームに貢献。難しい打球も簡単に処理してしまうがゆえに、広島ファンの間では、もはやアウトにするのが当たり前に。ただ、それも菊池涼の日ごろの鍛錬の成果にほかならない。そして、キャリアを重ねていく中で、自らの経験を惜しみなく後輩たちへ。「寄り添って伝えられることは伝えていきたい」。名手からの言葉は、二遊間を組む小園海斗らをはじめ多くの選手に大きな影響を与えている。また、打っても二番打者として“つなぎの打線”に欠かせない働きぶり。小技も生かして着実にチャンスメークをしたかと思えば、ここぞの場面ではしっかりと決め切る勝負強さも光る。あらゆる面でチームに欠かせない存在なのは間違いない。

中日ドラゴンズ



 開幕からのスタメン二塁は阿部寿樹の29試合が抜けている。ただ、これは今季から二塁を守る予定だった高橋周平が開幕直前に左足首を捻挫して戦線離脱になった影響が大きい。将来の四番候補でもある石川昂弥を三塁に抜てきし、三塁の高橋周を二塁で起用することが開幕前のチームプラン。そのために阿部はキャンプ中から左翼にも挑戦していた。高橋周が4月末に復帰し、予定どおりに二塁に落ち着くかと思われたが、今度は石川昂弥が新型コロナに感染して登録抹消という緊急事態。現在は高橋周が三塁に戻り、阿部が二塁を守っている。立浪和義監督の理想は「二塁・高橋周」だが、なかなか落ち着かないのが本当のところだ。ただ、高橋周と阿部の2人がツーポジションで頑張っているとも言えるだろう。

横浜DeNAベイスターズ



 2年目の牧秀悟が二塁レギュラーの座をがっちりとつかんでいる。新型コロナ陽性で離脱した時期は田中俊太らが守ったが、それ以外はスタメンで出場する。オフには大和に弟子入りして名手の技を学ぶなど守備への意識は高い。特筆すべきは肩の強さだ。3月31日、中日戦(バンテリン)の8回、右中間を破る当たりで三塁を狙った京田陽太を中継からの大遠投で補殺。5月10日の巨人戦(新潟)でも、7回に大城卓三の右中間の当たりで本塁を狙った一走・中田翔を中継からレーザービームでタッチアウトに。バット以外でもチームへの貢献度は高い。

阪神タイガース



 全体的に打線が低迷している阪神において二塁手もレギュラーが決まっていない状況だ。二塁スタメンで言えば糸原健斗が15試合、小幡竜平10試合と多い。一塁手のマルテがケガで戦列を離れていた時期に大山悠輔が一塁に入ったことで、糸原が三塁としてスタメン出場することが多かった。その中でチャンスを与えられた小幡だったが打撃面で結果を残せず、二軍に降格。マルテも戻ってきたことで、再び糸原が二塁に定着しそうだ。ただ、打率が1割台と苦しんでいるだけに、ほかの選手にチャンスが残っているともいえ、まだまだ固定することができなさそうなポジションだ。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング