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大城卓三、小林誠司、山瀬慎之助…巨人の「正捕手争い」の行方は

 

 巨人の正捕手争いが熾烈だ。チームが波に乗り切れない中、大城卓三小林誠司山瀬慎之助は首脳陣の信頼を勝ち取るパフォーマンスを見せることができるだろうか。三者三様の特徴がある中、今後の活躍が注目される。
※成績は6月23日現在

打撃力向上が正捕手奪取のカギ


捕手としての技術は優れている小林


・小林誠司
今季成績 34試合出場、打率.136、0本塁打、3打点
通算成績 719試合出場、打率.208、15本塁打、140打点

 大城がリーグ戦再開後に一軍昇格したが、6月17日からの中日3連戦すべての試合で先発マスクをかぶったのは小林だった。2016年から4年連続リーグトップの盗塁阻止率をマーク。近年は故障の影響もあり出場機会が激減していたが、原辰徳監督の期待は大きい。投手の良さを引き出す配球術、ブロッキング技術を含めて「扇の要」という言葉が似合う。ただ、小林が改善しなければいけないのは長年指摘されている打撃だ。交流戦では21打数2安打、打率.095と振るわず、6月は25打数0安打と安打が出ていない。

 巨人OBの廣岡達朗氏は週刊ベースボールのコラムで、「小林は球に自分を合わせようとするから球を追いかける。つまり、球にリードされるのだ。ボールに対して『いらっしゃい』という雰囲気が全然ない。ベース板の上に来た球を打つのが本当。そのために準備しているのに、カーブならカーブに合わせにいくから、こねるような感じで打つ。私のところに預けたら1週間でモノにしてやる」と指摘している。打撃力の向上が正捕手奪取のカギを握っている。

打撃力抜群の司令塔


捕手陣の中では、そのバッティングは抜き出ている大城


・大城卓三
今季成績 50試合出場、打率.228、3本塁打、13打点
通算成績 460試合出場、打率.252、33本塁打、138打点

 正捕手に最も近かった男が試練を迎えている。コロナ禍で120試合制の2020年に93試合で打率.270、9本塁打、41打点といずれも自己最高の成績でリーグ連覇に貢献。盗塁阻止率も前年の.172から.340と改善されて自身初のベストナインを受賞した。昨年は自己最多の125試合に出場。打率.231、11本塁打、37打点は不本意な数字だが、リーグトップの盗塁阻止率.447をマークした。

 今季は強肩強打でチームの司令塔としての活躍が期待されたが、打率.228と本来の状態にほど遠く6月2日に登録抹消。故障以外でファーム降格はプロ5年目で初だった。17日に一軍再昇格し、翌18日の中日戦(バンテリン)に代打で3回に登場すると、高橋宏斗のスプリットをバックスリーンに運ぶ70日ぶりの3号ソロを放った。試合前のフリー打撃でサク越えを連発する打球を見ると、まだまだ潜在能力を発揮しているとは言えない。攻守でスキルを磨いて不動の正捕手に返り咲けるか。

チャンスを手繰り寄せる若武者


攻守に大きな可能性を秘めている高卒3年目の山瀬


・山瀬慎之助
今季成績 8試合出場、打率.182、0本塁打、0打点
通算成績 8試合出場、打率.182、0本塁打、0打点

 高卒3年目の若武者が大きなチャンスを手繰り寄せている。大城に代わって6月2日に一軍昇格すると、9日の西武戦(ベルーナ)プロ初スタメンを飾り、4回にプロ初安打となる左前打をマーク。守備でも先発の赤星優志を好リードで引っ張り、チームの勝利に貢献した。この働きぶりが評価されて同戦から「九番・捕手」で4試合連続スタメン出場。プロの厳しさも味わった。12日の楽天戦(楽天生命パーク)で2回に一挙9失点。辰己涼介に1イニング2本塁打を許した。

 反省はしても、落ち込んでいる暇はない。1年目のオフから共に自主トレを行ったソフトバンク甲斐拓也が目を見張るほどの強肩は大きな魅力で、昨季はイースタンで盗塁阻止率.474をマーク。課題だった打力もコンパクトなスイングで広角に安打を打つなど成長の跡が見える。星稜高の1学年後輩のヤクルト内山壮真が一軍で奮闘していることも大きな刺激になっている。投手陣の信頼をつかみ、出場機会を増やしたい。

写真=BBM
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