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大ブレークの巨人・ウォーカーに「近年の助っ人でNo.1」と称賛の声が

 

3割、30本塁打も可能


巨人打線で欠かせぬ存在となった新外国人のウォーカー


 今年の新外国人の中で最も活躍している選手が巨人のアダム・ウォーカーではないだろうか。6月28日時点で打率.313、16本塁打、36打点。相手バッテリーも警戒を強める中で打ち続けていることに大きな価値がある。

 他球団のスコアラーはウォーカーの特徴について、こう分析している。

「変化球を打つのがすごく上手なんです。もっと粗削りかと思ったらきっちりコンタクトしてくる。日本野球向きの選手ですよね。緩急にも体の軸が崩されずにボールを拾う形でスタンドに放り込む。長打力は岡本和真と引けを取らない。近年の巨人の助っ人の中で打力はNo.1だと思います。確実性もあるので打率3割、30本塁打は達成可能な数字でしょう」

 2013年から16年まで4年連続で25本塁打以上を記録するなど、18年までのマイナー通算で143本塁打をマーク。独立リーグでも19年に98試合で22本塁打、20年は新型コロナウイルスの影響で試合数が大幅に減ったが、57試合で22本塁打を放って本塁打王を獲得し、シーズンMVPを受賞した。昨季独立リーグで100試合出場し、打率.320、33本塁打、101打点をマーク。2年連続でリーグMVPに輝いた。

 ただ、メジャー経験はない。三振率の高さも指摘され、その実力は未知数だった。新加入でメジャー通算96本塁打のグレゴリー・ポランコのほうが注目度は高く、野手の外国人2枠はゼラス・ウィーラーとポランコで、ウォーカーは2人に実力的に劣るという見方が多かった。

守備力向上にも熱心


 ところが、この前評判を覆す。開幕一軍入りし、2戦目の中日戦(東京ドーム)で8回に代打で出場すると左越適時二塁打。来日初出場初安打初打点を記録した。最初の15打席で7三振と粗さも見えたが、実戦を重ねることで適応能力を高める。4月上旬から左翼のレギュラーに定着。下位を打っていたが、5月以降は三番、二番と上位を託されるようになった。

 守備が課題とされ、打球判断や送球の精度に課題があるが、亀井善行外野守備走塁コーチと連日守備練習に取り組んでいる。動きが緩慢なわけではなく、スピードはある。真面目に取り組む姿勢から日本で成功したいという思いを強く感じる。6月28日の中日戦(山形)では1対1の4回、二死一、二塁で石橋康太の左前打を処理すると、ノーバウンド送球で二塁走者・阿部寿樹の本塁生還を阻止。勝ち越しを防ぐ来日初補殺でチームのピンチを救った。

抜群の身体能力に無限の可能性


打球を遠くに飛ばす能力にも優れている


 活躍しても練習熱心な姿勢は変わらない。6月22日のDeNA戦(東京ドーム)では試合前にアーリーワークを行い、同点の7回に決勝打となる2試合連続15号ソロをバックスクリーン横に運んだ。お立ち台に立ったウォーカーは「コーチたちがセッティングしてくれたので良い機会ですし、自分のスイングを調整しようと思ってアーリーワークに参加しました。練習したことが報われたのが良かったので続けていきたい」と目を輝かせていた。

 父のアダム・ウォーカーはNFLでプレーしていたアメフトの選手で、従兄弟にメジャー通算1386安打をマークしたダミオン・イーズリーがいる。ウォーカーも血を引き継いでいるのだろう。誰よりも遠くへ打球を飛ばし、足も速い。抜群の身体能力に無限の可能性を感じさせる。

 昨年の巨人は助っ人の野手陣がシーズン終了を待たずに帰国した。メジャー通算96発のエリック・テームズはデビュー戦となった4月27日のヤクルト戦(神宮)でアキレス腱断裂の大ケガを負い、戦列に戻れず退団。メジャー通算196発のジャスティン・スモークも6月に家族が来日できないことを理由に退団した。8月下旬に緊急補強したスコット・ハイネマンも体調不良で約1カ月後に帰国した。

 ウォーカーはポランコと共に後半戦も打線の中軸で大暴れしてほしいというのが、巨人ファンの願いだろう。推定年俸3400万円の助っ人がジャパニーズドリームをつかめるか。

写真=BBM
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